17年4大陸女王の三原舞依(21=シスメックス)が19年3月17日の地方大会以来、566日ぶりの競技会復帰を果たした。

昨季は体調不良でグランプリ(GP)シリーズなど全試合欠場。復帰戦は59・69点で3位となり「始まる前はあまり緊張していなくて、とにかく楽しみで仕方がなくて『よし、いくぞ』っていう気持ちで、久しぶりに楽しんで滑れたかなって思います」と笑顔で振り返った。

元気な三原が帰ってきた。昨年3月、フリーのみで行われた「PIフリースケーティング大会」(神戸市立ポートアイランドセンター)以来の競技会。演技前には中野園子コーチから「絶対できる」「最後まで笑顔で」と送り出された。

2季前のSP「イッツ・マジック」を濃いピンクの衣装で演じ、3回転ルッツ-2回転トーループ、ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を着氷。3回転ループもこらえながら降りた。演技後は両手を上に挙げたガッツポーズ。無観客開催だが、関係者から拍手が送られた。

「コンディションは2年前とまた全然違った感じで。でも、一言言えるのは『元気』なので。これから日を追うごとにどんどんレベルアップしないと、他の方々と全然戦えない。しっかり1つ1つを本当に大切に、日数が限られているので、毎日を大切に過ごしていきたいと思っています」

今年7月の全日本強化合宿。リンクに立てる喜びを、かみしめるように口にした。

「久々にスケートをした時は『氷ってこんなに滑るんだ』と思った。まずは元の状態に戻すことを目標にしています」

昨年は全試合を欠場。中野園子コーチは「しっかり治して。無理をせず、来シーズンにちゃんと戻ってこられるようにしてほしい」と語り、今季に向けての準備を進めてきた。

元号が令和へと移る直前の昨年4月、三原はいつも大切にする「感謝」という言葉を用いてこう語った。

「この世の中に『私を生んでくれてありがとう』っていう家族への感謝と、平成の間にスケートを教えてくださった先生たちへの感謝。ここにいることができる幸せ。令和の試合でも、感謝の気持ちを示していきたいです」

今大会は12月の全日本選手権(12月24~27日、長野・ビッグハット)の予選会を兼ねている。4日のフリーを経て、上位9人が西日本選手権(10月29日~11月1日、京都アクアリーナ)に進出。周囲への思いをスケートに込め、自分のペースで1歩ずつ進んでいく。【松本航】