22年ぶりの関西制覇を狙うB組(昨季偶数順位)の京産大が、劇的な逆転で白星発進した。後半ロスタイムに途中出場のフランカー三木皓正(1年)がトライし、33-27で立命大に勝利。同大は今季昇格した関大に33-31で辛勝。今季は4校が2組に分かれ、順位決定戦を含め計4試合の短期決戦。全国大学選手権は上位3校が出場権を得る。京産大、同大ともヒヤヒヤの開幕星。チーム力を上げなければ、「打倒関東」の高い壁は超えられない。

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観客席で指揮した京産大・伊藤鐘史監督の声は、届いていなかった。1点を追う後半ロスタイム、ゴールまで40メートル弱の中央でペナルティーを獲得。15年ワールドカップ(W杯)日本代表の新監督は「ショット!」と3点が入るPGを指示した。だが、無線機が故障。ピッチの選手はラインアウトからのFW戦を選び、場内はざわついた。

短期決戦の負けられない戦い。モールを止められ、ラック際の攻防が続く。ロスタイムの4分が過ぎた45分。分厚い相手FWの壁をこじあけたのは、1年生の三木だった。31-27。ゴールが決まり、ノーサイドの笛が鳴ると跳び上がって抱き合った。「運を持っていた。あのトライは全員のトライ」と三木が喜ぶ隣で、伊藤監督は「『THE・開幕戦』。こっちはヒヤヒヤもんでした。インカム(無線機)が壊れていて良かった」と選手をねぎらった。

目標を初の日本一に定め、2月の始動時から関西4連覇中の「天理ノックアウト(TKO)」を掲げてきた。だが、フランカー田中利輝主将(4年)は「立命のプレッシャーに押された」。頭一つ抜ける天理大との対戦にはB組1位通過が求められ、その先の舞台には屈強な関東勢がひしめく。開幕戦勝利で、満足してはいられない。【松本航】

◆今季の関西大学ラグビー 昨季順位で奇数(A組)偶数(B組)の4チームずつに分け、総当たり3試合で同組内の順位付け。最後は両組の同順位同士で順位決定戦を行い、上位3チームが全国大学選手権へ進む。コロナ感染などで棄権の場合は不戦敗。下部リーグとの入れ替え戦はなし。会場収容定員の50%以内で全試合有観客とし、チケットはチケットぴあ、ローソンチケット、イープラスで販売。当日券はなし。