オーストラリア・メルボルンの全豪オープン前哨戦で選手らが宿泊しているホテルで2日、従業員1人から新型コロナウイルスで陽性反応が出た。その影響で、4日の大坂なおみや錦織圭の試合はすべて中止となった。

「これからPCR検査を受けます」。感染者が出たホテルで隔離され、今も宿泊している日本代表の高田充男子担当代表ヘッドコーチ(51)が日刊スポーツの単独取材に答え、生々しい現状を聞かせてくれた。

高田コーチらが情報を知ったのは「3日のATPカップの日本代表が終わり、帰り道に関係者から、そのようなうわさがあると聞いた」。ホテルに戻ったのが午前0時すぎ。午前1時すぎに「4日の試合は中止で、PCR検査を実施する」とのメールが大会から届いた。

4日の午前8時半(日本時間午前6時半)から、大会側と選手、関係者はオンライン会議を開き、質疑応答があったという。その後も何本かメールが届き、「選手が最優先で午前9時から、コーチらのスタッフは午後1時から検査が行われる」という。「約6時間ぐらいで結果が出るようです」。

検査対象は、感染者との接触したと思われる選手や関係者だ。感染者は1月29日の検査では陰性。しかし、2月2日の検査で陽性のため、29日以降に同ホテルに滞在していた選手や関係者が接触者となる。その中には日本男子の錦織圭、西岡良仁のNO・1、2がいる。錦織は、隔離が同ホテルで、隔離解除後は別のホテルに移動した。西岡は高田コーチと同様に、同ホテルに宿泊したままだ。

高田コーチによると「大坂なおみやダニエル太郎は該当しないため、今日からも練習はできる」とのこと。オーストラリア入りしたときの2週間の隔離で、部屋から1歩も出られない完全隔離と、1日5時間外出が許された隔離の差のように、ここで再び選手間で練習時間の大きな差が生まれてしまう。

高田コーチは、入国してから「2週間の隔離中、13回PCR検査を受けた。つまり毎日」。徹底的な検査を行ったため、隔離が解除された後の検査は一切、行われない予定だった。それが、また検査で「気持ちが重くなる。ストレスがたまる」。

加えて不安視するのは、今回の検査で選手や関係者から陽性反応が出た場合だ。「会場でほとんどが一緒にいるので、全員が接触者となってしまうかも」。そうなったら、また試合はストップし、全員検査という形になりかねない。

高田コーチも十分に厳格さには理解を示している。「本当に、街中ではマスクをしていない生活がある。うらやましい。それも、この厳格さがもたらしたもの」。今回の騒動は、現地でのテレビでトップニュース、新聞は1面扱いだ。メルボルンがあるビクトリア州政府は、再び屋内でのマスク着用を義務づけた。