4大大会で準々決勝以降は負けない! 2度目の優勝を狙う世界ランキング3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、ツアー最大のくせ者を下しベスト4入りだ。同71位の謝淑薇(台湾)に6-2、6-2のストレート勝ち。過去5戦して4戦がフルセットの苦手を下し、全豪通算20勝目。杉山愛を抜いて日本女子歴代単独最多となった。準決勝では18年全米決勝で下した、同11位のS・ウィリアムズ(米国)と対戦する。対戦成績は大坂の2勝1敗。

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謝のかく乱ショットにあたふたし、パニックを起こしていた大坂の姿はどこにもない。無回転や逆回転など七色の変化球を織り交ぜ、ミスを誘うプレーに、6度目の対戦で、初めて冷静に対応した。「今日のプレーには満足している。本当にハッピー」。4大大会の準々決勝で、その成長ぶりを存分に見せつけた。

ネットを挟んだ選手同士の距離は微妙だ。球が飛ぶ時間にちょっとした間がある。その間を利用し、謝は相手に「ミスしたくない」という恐怖心を植え付ける。中途半端な速度や、変化の激しい球種を繰り出し、大坂も、これまで散々、その“アリ地獄”にはまった。

しかし、今回は「プランがあった」。謝は角度をつけたショットで、空きスペースをつくるのがうまい。そこで、大坂はストロークをできる限り、真ん中深くに返球した。そこはコート上で、最も角度がつきにくい場所だ。そこに返球することで謝の角度を封じた。

これが、今大会での大坂の強さの秘密だ。「今大会の相手は、どちらのサイドも強い。真ん中深くに打てば、攻撃されにくい」。追い込まれても、そこに返球することで、形勢を立て直すことが可能となる。今までなら、強引過ぎる“むちゃ打ち”で凡ミスの嵐だったろう。それが、冷静さで得点に変わったのだ。

全豪では日本女子歴代最多の20勝目。そして、4大大会4度目の準々決勝でも負けなかった。大舞台で4回戦を突破すれば、優勝確率100%だ。準決勝で対戦する憧れのS・ウィリアムズにも「どの試合もタフ。みんなナーバスだけど優勝もしたい。その気持ちをうまく対処できるかが大事」と冷静だ。

勝利選手は、試合後の約束事としてテレビのレンズにサインを書く。そこに動物を付け足して描いた。「猫? 犬?」という問いに「猫だけど、下手すぎて分からなかったみたい」。その遊び心とともに、まだまだ余裕の笑顔だった。【吉松忠弘】

◆全豪オープンテニスは、2月8~21日、WOWOWライブで連日生中継。WOWOWオンデマンドでも同時配信予定。