大坂、ゴールデンスラムなるか! 20日、日本時間午後5時半からの決勝で、世界ランキング3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、2年ぶり2度目の全豪制覇に挑む。優勝すれば、全豪覇者だけが得る年間グランドスラム(4大大会全制覇)への挑戦権に加え、今年は五輪イヤーでもあり、東京五輪金メダルなら、男女を通じ歴代2人目の年間ゴールデンスラム(5冠)の偉業も夢ではなくなる。決勝の相手は同24位のジェニファー・ブレイディ(米国)。対戦成績は大坂の2勝1敗。

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夢のような話が飛び出した。大坂が制した4大大会は全豪、全米ともにサーフェスはハードコート。赤土の全仏、芝のウィンブルドンともに3回戦が最高成績だが、メルボルンで記者会見しフィセッテ・コーチは「2つのコートともに、なおみは十分に戦える。今年優勝してもおかしくない」と絶賛だ。

年間4大大会全制覇は、女子の88年グラフが最後で、32年間、誰も成し遂げていない。達成したのは男子2人、女子3人のわずか5人。世界のテニス界で、最も困難な偉業といわれる。以前、大坂は「4大大会を全部取るのが夢」と話している。

加えて、五輪が加わる年間5冠は、五輪年に、その年の最初の4大大会を制する必要があり、運にも左右される。その5冠達成は、男女を通じて、歴代で88年にソウル五輪を制したグラフしかいない。

大坂は米国のハードコート育ち。不規則バウンドが少ないコートに慣れている。赤土や芝は自然のコートで、不規則バウンドは当たり前。加えて赤土は球足が遅くポイントが決まりづらく、芝はストロークが安定しない。そこを我慢できるかが、大坂の課題だった。

しかし、日本協会の吉川真司女子代表コーチは「落ち着いている。気持ちのコントロールができている」と指摘。同協会の土橋登志久女子代表監督は「リターンが安定し、ラリーに持っていける展開ができている」と、課題だった精神面、戦術面の安定性が向上しているとみる。

東京五輪は、大坂得意の有明のハードコートでもあり、「気が早いが、ゴールデンスラムも夢ではない」(土橋監督)ということになる。その第1歩のため、フィセッテ・コーチは「経験と自信だけ。ミスしても自分を信じること」と話す。壮大な夢の達成に向け、まずは今年最初の大一番に挑む。

○…ブレイディは初の4大大会決勝に「どんな気持ちになるか分からないけど、楽しみたい」。ジュニア時代は目立った成績はない。しかし、カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)に進学後、14年に同校を全米優勝に導いた。大学で開花し、同年プロ転向。20年米レキシントンでツアー初優勝を飾った。

◆ゴールデンスラム テニスの場合、4大大会すべてを制することをグランドスラムと呼ぶ。1年間で4つ全てを制するのが年間グランドスラムで最も価値が高い。加えて、五輪を制するのがゴールデンスラムと呼ばれ、同一年で達成した年間5冠は女子の88年グラフだけ。生涯で5冠達成も、男子でアガシ(米国)、ナダル(スペイン)、女子はグラフとS・ウィリアムズ(米国)だけ。

◆WOWOW放送予定 20日午前9時5分から。同日午後3時半から。同日午後5時15分から。ともにWOWOWライブ。女子シングルス決勝ほか。生放送。WOWOWオンデマンドでもライブ配信。

大坂なおみ-ブレイディ/全豪OP決勝速報します