ホワイト・カンファレンス(白組)の神戸製鋼が白星発進した。NECから計7トライを挙げて47-38で勝利。元ニュージーランド代表で84キャップを持つWTBベン・スミス(34)が、来日初トライで、チームに主導権をもたらした。

1月には10人が新型コロナウイルスに感染し、チーム活動を約2週間休止。その影響か、38失点の9点差辛勝も、18-19年シーズンとの“2連覇”へ向け、西の名門が歩を進めた。

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世界を知るスミスは、最高の位置を逃さなかった。2点リードの後半3分、右へボールをつなぎ、すぐに大外を走るNO8ナエアタの内側をフォロー。パスを受けると、約20メートル走りきるだけだった。観客の拍手に包まれ「トライを取ることは常にうれしい。でも(コロナで)ラグビーができなかった中で、トップリーグが始まった。そちらの方がうれしいです」と笑った。

日本で行われた19年W杯では3位決定戦で2トライ。全てが一流の万能BKは昨年10月に来日した。神戸市内で家族と生活し、最近は5歳長女、3歳長男のために自転車を購入。「最初は乗れなかったけれど、たくさん練習したら速くなったよ。追いかけるのがトレーニングだね」。そうほほえむパパも、ピッチでは「神戸製鋼は誇り高いチーム」とスイッチが入る。この日は14人となった場面でフランカーとしてスクラムに参加し「いいスクラムを組めた」と胸を張った。

チーム内のコロナ感染により、ホンダとの練習試合(1月7日)以来の実戦。相手に6トライを許し、スミスは「最初のタックルで止めきれなかったのが課題」と指摘した。チーム作りは道半ば。2連覇へと進む過程で、神鋼の魅力はさらに増していく。【松本航】

◆今季のトップリーグ 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年1月に6チームで計68人の陽性者が出たため1カ月遅れで開幕した。大会形式も変更し、16チームを2組に分け、1回戦総当たりのリーグ戦を実施。その後、下部のトップチャレンジリーグ上位4チームを加えた全20チームによるトーナメントで優勝を争う。決勝は5月23日に秩父宮で行う。来年1月に新リーグ発足のため、今季が最後のTLとなる。