神戸製鋼(ホワイトカンファレンス=白組)が、劇的勝利で2位通過した。3点を追う後半ロスタイム、最後のプレーで途中出場のフッカー松岡賢太(23)が逆転トライを挙げ31-29でNTTドコモに勝った。現体制となった18年以降のリーグ無敗(21勝2分け)を守った。パナソニックは同組首位が決定。11日の最終節4試合で順位が確定し、トップリーグ(TL)16チームとトップチャレンジリーグ(TL2部相当)4チームのプレーオフトーナメント(17日開幕)に入る。

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底力だった。神戸製鋼は3点を追う後半42分、敵陣の左中間で得たペナルティー。PGが決まれば同点。フランカーのフランクリン主将が問いかけた。

「俺はトライを取りにいきたい。どう思う?」

仲間も同じ思いだった。

「そうしよう」

ラインアウトでボールを確保。最後のプレーでFWがモールを押し込んだ。飛び込んだのは途中出場の松岡。20年春に明大から入部した23歳は「初トライで勝利に貢献できて、うれしい気持ちでいっぱい」と笑った。

昨季97-0で圧倒した相手の勢いにのみ込まれた。それでも焦らない。18-19年シーズン、ニュージーランド代表コーチとしてW杯2連覇に導いたスミス総監督らが就任して優勝。常勝の土台を作り、体制3季目の今季は選手同士の教え合いが増えた。35歳のプロップ山下裕は「FW第1列は『先発、リザーブで1試合』と考えています」と仲間意識を明かす。出場2試合目で大仕事を果たした松岡は「プレッシャーが懸かる場面を予測して、そういう意識で日々練習していました」と胸を張った。

新型コロナウイルスの影響で昨季は第6節で打ち切り。2連覇を狙う王者は簡単に負けない。【松本航】