内村航平(32=ジョイカル)の新たな挑戦が始まった。鉄棒に絞り種目別で金メダルを狙う東京五輪。国内選考会の第1戦で15・166点をマークし、同種目をトップで通過した。団体代表への未練を裁ち切り、他5種目のライバルとの代表争いを勝ち抜く。団体枠をかけた個人総合予選では18年ユース五輪5冠、18歳の北園丈琉(徳洲会)が87・332点で首位通過を決めた。18日に決勝が行われる。

冒頭のH難度「ブレトシュナイダー」を決めると、会場からの観客からはマスク越しの「おおっ!」という声がもれた。着地ではわずかに一歩動いたが、本人はほっとしたようにおなかを手でさすった。

演技のコメントは以下。

「(演技前の)3分間アップでいつもと違う感じになってしまった。ブレトシュナイダーはいつもは両手をちゃんとバーにタッチしてまっすぐ後ろに転がるように落ちているんですけど、左手がはじかれて危ないかなと思ったんですけど、いざやると普段通りに楽に離れ技自体はできた。バーもすごく滑る感じだったので、最後の着地は滑って飛んでいってしまうんじゃないかと、最後なんとか立った感じ。うまく通し切れて、点数としても15・133以上をギリギリ超えることできた。まあ、予選としては上出来かな」

選考会は全日本選手権、NHK杯(5月、長野)、全日本種目別選手権(6月、高崎)の3大会。枠は鉄棒だけでなく、他5種目の選手もライバルとなり、激しい国内の代表争いが待つ。迎えた初戦、選考基準の目安となる19年世界選手権での海外選手の得点14・933点を上回り、幸先良いスタートを切った。

4大会連続五輪は、日本男子では52年ヘルシンキ大会、56年メルボルン大会、60年ローマ大会、64年東京大会に出場した小野喬さん以来、史上2人目となる

◆個人枠の代表選考 6種目のスペシャリストが最大で2枠を争う。選考会は全日本選手権、NHK杯(5月、長野)、全日本種目別選手権(6月、高崎)の3大会。各演技の得点を国内外の大会での得点を元にして日本協会が作成する世界ランキングにあてはめ、順位ごとにポイントを与え、5試合の総合ポイントで競う。1位かつ0・2点差以上は40点、1位は30点、2位は20点と続く。鉄棒の現時点の世界ランキング1位は14・933点で、この日の内村は15・166点。今後の大会結果でランキングは変わるが、暫定で40点を獲得したことになる。