シドニー五輪の競泳代表から外れた千葉すず(24=イトマンSS)が18日(日本時間19日)、選考過程が明らかにされないことを不服として、国際スポーツ仲裁裁判所(CAS、本部・スイス)デンバー支部(米国)への提訴を決めた。今月初旬に日本水泳連盟に送った質問書に対する回答を18日までに受け取ったが、選考過程を説明するものではなく、同連盟と法廷で争う姿勢を固めた。早ければ来週にも書類を提出するという。

日本選手が初めて、五輪代表選考をめぐって調停を申し出る。千葉の代理人の橋廻(はしまわり)邦昭氏は18日までに、日本水連から「選考は公正で、落選理由は本人には公表していない」という回答を受け取り、提訴を決意した。千葉も「水泳連盟からの回答は回答になっていない」と、提訴に合意しているという。千葉の国内事務所「ドリーム・チーム・プロダクション」の内藤るみ子会長は「回答書の中に、選手本人が聞いても選考理由は答えられない、とありました。それならば、回答してくれるところからお話を聞くしかないので、提訴に踏み切りました」と説明した。

千葉サイドが日本水連へ送った質問は「代表選考会でA標準を突破して優勝しても選考に漏れることがあると、なぜ大会前に通告しなかったのか」など計7つ。これに対して日本水連は、橋廻氏が千葉の知人やファンの1人とみなし、当初は無視する方向だったが、特例として簡単な回答書を返送。林務専務理事は「CASに提訴されても、こちらは妥協するつもりはない。代表選考は公正だったという考え方は変わらない」と徹底抗戦の姿勢を見せた。

今後は、当事者同士がCASの仲裁を受ける契約を交わすことが前提となる。通常の調停は半年から10カ月かかるが、緊急の場合は短期間で判決が出る場合もあるという。同専務理事は「CASとサインするかどうかは、連絡を受けてから検討する」と話すにとどまった。