スケートボードのパーク女子で東京オリンピック(五輪)出場を確実にしている開心那(12)の所属先で、練習拠点になっているのが札幌市内の屋内スケートパーク「hot bowl skate park」だ。堤裕介代表(41)が08年に開業した。

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札幌市北区新琴似にアメリカンな外観の倉庫がある。屋内に足を踏み入れると、縦12メートル、横10メートル、最高3・1メートルのスケートボウル(曲面のくぼ地)を中心に、さまざまなセクション(アイテムや障害物)が現れる。子どもから大人まで利用、技を磨く。08年、堤代表が開業した。当時、札幌市内に同様のパークがなかった。「なぜ北海道の中心都市にないんだろう。環境を整えて次の子たちがどうなるか見てみたい」と動きだした。初期費用約700万円を投じて誕生させた。

名前にある「ホット」の由来は「60年代に『サーフィンしよう』って『ホットドッグしよう』と言われていたらしいのと、先駆者のことを『ホットドッガー』と呼ぶので」と、“熱い”思いを込めている。60、70年代にスケートボードブームを迎えた日本で80年代後半に人気が再々燃。当時夢中になっていた30代が開業時の主たる利用者だった。現在、キッズ向けスクールを開校。練習に打ち込む子どもの姿が目立つ。堤代表は「スケートが好きだった親が子どもにもやらせているからでは」と見ている。

12、13年ごろから所属ライダーを迎え入れた。練習場所を提供する代わりに所属先として施設名を背負ってもらう。開も17年から名を連ねる。子どもたちの環境づくりに加え「自分が練習する場所が欲しい」(同代表)という思いで開業したパークから、世界で活躍するライダーが生まれた。

「子どもたちがわざわざ道外、海外に行かなくても練習できるような施設を造りたい」。三笠市内に海外の愛好家の間で有名なビンテージパークがある。一般的にあまり知られていない。その施設を活用したプロジェクトを構想中だ。【保坂果那】

◆開心那の五輪切符 5月23日(日本時間24日)に米アイオワ州で行われたスケートボードのデュー・ツアー(東京五輪予選対象大会の最終戦)のパーク女子で47・70点の5位。世界ランキングで五輪代表圏内の日本勢3番手に浮上し、東京五輪切符を確実にした。開幕時12歳10カ月で東京五輪に出場すれば、夏季の日本人最年少になる。