帝京長岡(新潟)が初の決勝進出を決めた。仙台大明成(宮城)とのクロスゲームを75-73で制した。71-73の第4クオーター(Q)残り55秒にPG大月舜(3年)が逆転の3点シュートを決めて、決勝切符を手に入れた。今日30日の決勝は中部大第一(愛知)と対戦する。

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迷いはなかった。重圧も感じなかった。PG大月が放った3点シュートは美しい弧を描いてリングに吸い込まれた。試合残り時間は1分を切って71-73と、緊張を強いられる場面でのロングシュート。「自信を持って打った。メチャクチャ気持ちいい」。途中出場で試合の流れを変えるのが本来の役目。ところがシックスマンは勝利を最後の最後に引き寄せた。

U-19日本代表2人を擁する仙台大明成の先発平均身長は194センチ。高身長のエリート集団に対抗した大月は雑草魂を168センチ全身に詰め込んでいた。茨城県水戸市出身だが帝京長岡に進学したのは自分の意思。「身長が低くてもバスケットで活躍できる学校」と強い希望を持って親元を離れた。23得点したF島倉欧佑(3年)は「本当に勝負強い。アイツは何か持っている」と準決勝の主役を評した。

「新しい歴史を作ろう」と挑んでいる地元開催の全国高校総体で初の決勝進出。帝京長岡は歴史の扉を開けた。今日30日の決勝に勝てば歴史の1ページはさらに輝く。大月は「ここまできたら負けない」とあと1勝に意気込んだ。【涌井幹雄】