ノーシードの強豪・尾道(広島)が"お家芸"のスクラムをバックボーンに、6大会連続の初戦突破を決めた。開志国際(新潟)にFW戦でプレッシャーをかけ、5トライにつなげた。

【高校ラグビースコア速報】

組んだら、押す。特に最初はかます。右プロップ三輪拓翔(3年)は「意識していました」という。試合開始早々、2度目のスクラムは相手ボール。一気に押し込み、ターンオーバーを決めた。平均体重82・4キロのFWが、同99・4キロで17キロも重い相手をガツンと押し切った。

高校ラグビーは安全を考慮し、スクラムで押せる距離に「1・5メートル」の規制がある。だから、強化しても…との理屈も成り立つが、尾道は違う。「(ノックオンなど)エラーしても、スクラムはチャンスと思える。"絶対にボールを取れる"と。安心感です」と田中春助監督(33)。週1、2回は約40分間、スクラムを組む。"特別コーチ"がいる。同監督いわく「関大OB、68歳のおじいちゃん」で「押す距離に制限がなかった時代の人に、押し方を教えてもらう」のだ。

安定のスクラムを背景に、着実に力をつけた。夏の菅平合宿で大阪桐蔭に30分間マッチで0-0。今大会前の12日には、常翔学園に同トライ数で26-20と勝った。高校日本代表候補が1人もいない雑草軍団は、シード校をしのぐ底力を備えてきた。

抽選で大会3連覇を狙うAシード桐蔭学園と同ブロックに入った。東福岡、東海大大阪仰星などを含む"トップグループ打倒"がテーマで、田中監督も「一石、投じたいです」と願う。プロップ三輪の4歳上の兄悠真は関東学院大主将で、4大会前の3回戦で桐蔭学園に7-40で負けた。三輪は「あの試合、僕も見てたんで、兄の分も勝ちたい」。30日の2回戦で高鍋を破り、元日に桐蔭学園と大一番をにらむ。

【高校ラグビー】高校ラグビー2021関連ニュース>

【高校ラグビー】組み合わせトーナメント表>