16日にも強制送還か。オーストラリアの査証(ビザ)を2度も取り消された男子テニス世界王者のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)をめぐる裁判は16日、審理が行われ、最終判断が下される模様だ。

ジョコビッチ側の異議申し立てが却下された場合、国外退去となる。ジョコビッチが男子単独最多21度目の4大大会優勝を狙う全豪オープン(メルボルン)は、17日に開幕する。

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出場か国外退去か。もう待ったなしだ。全豪開幕直前で、ジョコビッチ側の異議申し立てが、1回目の10日同様に認められれば本戦出場は可能。しかし、14日にホーク移民相が下したビザ取り消しが支持されれば、国外退去となる。

ジョコビッチは、15日の午前中に、オーストラリア当局に身柄を拘束された。そのまま事情聴取を受け、渡航の経緯について改めて聴かれたようだ。午後には、メルボルン市内にある入管施設のパークホテルに収容された。同ホテルは、ジョコビッチが最初にビザを取り消されたときに収容されたのと同じ施設。不衛生で窓も開かない劣悪な環境として、収容されている難民申請者らに不評を買っている。

同日、ジョコビッチの弁護団が作成した268ページに及ぶ宣誓供述書が裁判所によって公開された。同書によると、ホーク移民相はジョコビッチを強制送還したい考え。ジョコビッチの「高い知名度とお手本としての地位」を考慮し、ワクチン未接種の同選手が滞在すれば「国内の反ワクチン感情を助長しかねない」と主張した。

対する弁護団は、ジョコビッチがオーストラリアで多くの支持を得ているとして反論を試みる。ただ、移民相の権限により、今度のジョコビッチ側の異議申し立ては、却下される可能性が高い。

今回の問題は、3月に米国で開催予定の4大大会に次ぐ位置づけの2大会にも影響を及ぼしそうだ。米国は現在、入国する外国人はすべてワクチン接種を義務づけている。同じ問題が再燃する可能性がある。