北京オリンピック(五輪)団体戦3位、個人戦5位の樋口新葉(21=明大/ノエビア)が不完全燃焼に終わった。121・12点の合計188・15点。自己ベストから26・29点も下回る、まさかの結果となった。

ショートプログラム(SP)67・03点の7位で迎えたフリー。転倒や回転不足が頻発した。冒頭、北京五輪では史上5人目の成功者になったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑んだものの転倒し、後半の3回転ルッツ-3回転トーループでも軸が斜めに傾いて転んだ。

「(3回転半は)こっちに来てから1度も成功していなかったんですけど、最後なので、失敗してもいいので跳ぼうと思いました」

2回転半が1回転半になる場面や、最後の3回転フリップがエッジエラー(踏み切り違反)に回転不足と難しい試合に。演技が終わると、ぼうぜんとし、場内からの拍手には何とか作り笑いをした。

4年前の世界選手権はSP8位からの大逆転で銀メダルに輝いた。今回も再現とはならなかった。

6人を残して5位。信じられない結果に、得点が出ると力なく首を振った。4年に1度の北京五輪にかけてきただけに、疲れが一気に表面化したような演技となった。

試合後は「いろんな部分で失敗をしてしまって、いつも通りの演技ができなかった。こっちに来てから、なかなか調子が上がらなくて…。その中でも気持ちを切らさずに。今日は滑り切ることに必死で、終わった後は無感情というか、何も考えられなかった」と淡々と振り返った。

やはり五輪の疲労があったのか問われると「すごく長いシーズンの最後に(世界選手権)。12月に代表に決まってから、どういうふうに持っていこうか悩んで考えながら練習してきたんですけど、五輪が終わってから、すごく疲れだったり気持ちの上げ方が分からなかったりして。また次、こういう機会があれば生かしたいし、来季はうまくピークを合わせて、全ての試合で自己ベストを更新できるように頑張りたい」と言葉を絞り出し、力を出し切った五輪シーズンを締めた。