北京五輪のスピードスケートで金メダル1つ、銀メダル3つを獲得した高木美帆(27=日体大職)が5日、都内の日本記者クラブで会見し、現役続行を表明した。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を目指すかについては明言を避けた。18年平昌五輪で2つの金メダル、北京五輪の女子団体追い抜きで銀メダルを獲得した姉の高木菜那(29)も同日会見し、現役引退を表明した。

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日本スケート界の至宝が現役続行を明言した。3月のシーズン最終戦を終えた直後に「しばらく休みたい」と話してから半月。「続けるかどうかも考えるべきと思っていた」と引退も頭によぎったが、自身の胸に聞いてみると「スケートを滑ることに前向きに思っている自分がいた」という。

一方で、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を目指すかについては「正直よく分からない」と明言を避けた。アスリートとしての体の限界が近づいていることを覚悟していて「20代前半に比べたらカウントダウンは確実に始まっている。ミラノに対して責任を持って発言できる状態ではない」と話した。

現役続行に至った経緯も詳しく語った。「(競技生活で)つらく耐えられないと思ったことはあった。夏の陸トレはつらくモチベーションも上がらない」と吐露。一方で「滑っている自分、スケートに取り組む過程が好きだとあらためて感じた。いつ終わりが来てもいいように、悔いが残らないように、やれることをやりたい」と達観していた。

現役終了の時期を予感するようなコメントが目立つ中、引退後の自分像についても言及。「知識が増えることが好き。もう1度(大学などで)勉強をするかも」と語った。

約7年間ナショナルチームのヘッドコーチを務めたヨハン・デビット」氏が退任し、オランダに戻る。来季以降、オランダを練習拠点にする考えはあるか問われ「やりたいと思えば選択肢として出てくる1つ」と排除しなかった。

30年の招致を目指す札幌五輪の質問も出た。自身の出場に関しては「全く考えていないし、考えが及ばない」としつつも、「若い子たちが母国で五輪を戦う機会は貴重だ」と期待した。【三須一紀】