前回19年大会の覇者、瀬戸大也(28=TEAM DAIYA)が銅メダルを獲得した。決勝で今季自己ベストとなる1分56秒22で3位。21日に200メートルバタフライで銅メダルの本多灯に続き、競泳日本勢として今大会2個目のメダル獲得。瀬戸自身は世界選手権で5大会連続のメダルとなった。今春から東海大の加藤健志監督に指導を依頼。猛特訓を重ねる中で、24年パリ五輪に向けて好結果を出した。

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最後の数ストロークは息継ぎをしない「ノーブレス」でメダルをもぎ取った。瀬戸が今季自己ベストで3位に入った。「最後まであきらめず、今大会できることをしっかりとできた。なんとかメダルを1つ持って帰れる。パリに向けていいスタートを切れた」とうなずいた。

400メートル個人メドレーでは6位に終わったが、短時間でしっかり修正した。メダルへの原動力となったのは平泳ぎだ。決勝では、平泳ぎの区間タイムを準決勝から0秒71も短縮。3番手にほぼ並び、最後の自由形で突き放した。

今春から、東海大の加藤健志監督の指導を仰ぐ。16年リオデジャネイロ五輪女子200メートル平泳ぎで金藤理絵さんを金メダルに導くなど、ベテランを再生させる手腕には定評がある。平泳ぎのキックについて、もっとしなやかにするように助言を受け、「足がどんどん使えるようになって、しっかり水にかかるようになってきた」と手応えをつかんで今大会に臨んだ。

“鬼メニュー”として知られる同コーチの下、瀬戸は連日午前6時から猛特訓。東海大の近くに引っ越し、学生に交じってハードに泳ぎ込んでいる。最大目標は24年パリ五輪での金メダル獲得で、現在は基礎固めの状況。出国直前には「世界水泳に向けての練習はしていない。そこは正直、不安かも」と口にしていたが、しっかり結果を出した。

20年に女性問題が発覚。紆余(うよ)曲折を経て臨んだ東京五輪では、メダルなしの挫折を味わった。24年パリ五輪は30歳で迎える。2冠獲得のレオン・マルシャン(20=フランス)をはじめ、若い力の台頭もめざましい。それでも、簡単に譲るつもりはない。「パリまで本気で頑張れば自分もいい勝負ができる。絶望的ではない。人生をかけてパリまで頑張りたい」。2年後の栄冠を目指し、一心不乱に泳ぎ続ける。

〇…東海大の加藤監督は、愛弟子の泳ぎをテレビ越しに見守った。日本時間23日午前2時ごろに決勝がスタート。「その2時間くらい前から集中、興奮して、僕のエネルギーも全力で送りながら見ていました。ゴールの瞬間は全力ガッツポーズです」。短い期間でも着実に瀬戸が成長していることを実感している。「壮絶なレースを展開し、必死に泳ぎ切って銅メダルを獲得しました。これでパリへの本格スタートが切れます」と目を細めた。