勝てば2次ラウンド進出が決まった日本(世界ランク7位)は、0-3のストレートで16年リオデジャネイロ五輪金メダルの中国(同4位)に敗れた。第1セット(S)に3度、第3Sは4度のジュースになる接戦。第3Sの途中で絶対的エースで主将の古賀紗理那(26)が、ブロックした際に右足首を負傷し途中退場するアクシデントに見舞われた。2勝1敗の日本は、30日の第4戦で強豪ブラジル(同2位)と対戦する。
【世界バレー】日本がリオ五輪金の中国に敗れ初黒星 30日強豪ブラジルと対戦
【世界バレー】古賀紗理那主将が右足首負傷か エース不在の日本はリード守れずストレート負け
日 本 | 0 | 26-28 17-25 27-29 | 3 | 中国 |
★真鍋政義監督 1セット目3セット目とデュースになったんですけど、最後はやっぱり力と高さに負けた感じがしますね。12番の選手(リ・エイエイ)は素晴らしいですね。日本のブロックの上、横を全て打たれたんで。今日はディフェンスも機能しなかったですね。(古賀選手の負傷は)ちょっとまだ分からない状況です。当然(次戦の)ブラジルも世界ランキングは我々よりも上。調整して準備して、ブラジル戦に行きたいと思います。
★関菜々巳 サーブで攻めて相手の攻撃を絞り、自分たちのペースに持ち込もうという話だった。自分たちのサーブが機能せずに中国が好き勝手攻撃できて、ディフェンスが機能せず、相手に押されてしまった。自分たちとしては10番の選手に決められないように(話していた)。12番の選手には多少決められても仕方ないと話していたが、10番の選手に好き勝手決められて、どこを塞げばいいのかとなってしまったのが敗因だと思う。(古賀の負傷後は)いつも紗理那さんが中心で指示を出してくれて、中心となって攻撃、ディフェンス全部言ってくれるが、そこに頼り切りではいけないと思って、自分もしっかり指示を出せるようにとは思っていた。(次のブラジル戦への課題は)自分たちの課題であるサーブを攻めて行かないとブラジルも攻撃力が高いので勝てない。まずはサーブを攻めて相手に良い展開を作らせないように頑張りたい。
★山田二千華 途中出場だったので、コートの外から見る情報が多かった分、それをコートの中で体現しようと思った。できて良かったです。(ブロックに関して)こちらのサーブが攻め切れていないという部分で、ミドルもそうですけど両サイドもどこからでも打たれてしまうという状況を作ってしまった。それでは自分たちは高さがない分、戦い切れない部分がある。そこが一番大きな反省だと思う。全体のトータルディフェンスも含めて、自分たちのできることが少なくなってしまった。(ブラジル戦に向けて)今日は負けてしまったがこれを受け止めて、切り替えて自分たちのやるべきことに目を向けて、切り替えてやっていきたいです。
★井上愛里沙 今日は1セット目取り切れなかったのが相手のペースにしてしまったと感じます。アクシデントもあったが途中で入ってきた選手がすごく頑張ってくれていた。最後の最後で自分のミスが連続してしまった。取り切れるところで取り切れなかったのが反省。そういった場面でも点数を取り切れるように次に向けて準備したい。勝負のかかった場面でレフトにあがるのはある程度想定内だった。どうやって決めるか、イメージはあったがそこがミスになってしまった。そこを修正して次に臨みたい。今日の出だしはサーブで攻められたが、サーブで崩したあとのディフェンスがはまれば自分たちのペースになる。日本の強みは何回も我慢して点をとる所。そういうプレーをこれから出したい。(ブラジル戦へ向けて)今日は負けたが、今後自分たちよりも強かったり自分たちと同じくらいの力のチームと対戦するにあたって、取るべき所で取ることが自分たちのペースに持って行くには重要。負けたという結果だけにならずに、今日の反省として良かったことを整理して次に臨みたいです。
◆試合経過◆
第1セット
ともにストレートで開幕2連勝し、勝てば2次ラウンド進出が決まる一戦。
日本は井上のサーブで幕開けとなった。
中国のリ・エイエイのスパイクが決まり先制点を許す。古賀がブロックにつかまり1-2。
2-2から関がダイブしボールを拾う。最後は島村が決め3-2。
サーブがネットに当たるなど不運な失点もあり、中国の5連続得点でじわじわと引き離され3-7。
古賀が押し込み4-7となる。前の試合で9連続得点へとつなげた古賀にサーブ権。中国のスパイクが連続で外れ2点を返し6-7。
古賀のサーブが2本ブレイクで7-8とするも、中国の強いスパイクに反応できず7-9。
ここから一進一退の攻防となる。
長いラリーの後に相手の強いスパイクを林がブロックを決める9-10。
長いラリーの後、古賀がコート中央にボールを落とし、相手は反応できず11-12。
サーブで崩して12-12の同点に追いつく。古賀が相手ブロックをはじく強烈スパイクでついに13-12と勝ち越し!
その後互いに点を取り合う展開。21-22年シーズンVリーグMVPの井上の速いバックアタックが決まり相手は返せない。14-13。
6月のネーションズリーグの日本戦で27得点を挙げているサウスポーのリ・エイエイに決められる。
中国のネットに当たるサーブが決まり、14-17と引き離される。
ここで、日本はタイムアウトを要求。
中国のサーブが外れ反撃開始。
古賀がコート後方を狙ったバックアタックに中国は反応できず16-18。
林のアタックで19-19、20-20とする。
林がライトから敵のいないコート後方へのスパイクで21-21。互いに1歩も譲らない展開。
福留がダイブでボールを拾うなど、粘りの守備。相手のスパイクがコートアウトに。22-22。
中国が先にセットポイントを奪うも、井上のスパイクでジュースに。
その後、古賀がブロックに阻まれて25-26と追い込まれる。
諦めない日本は、古賀がエースの意地で3度目のジュースに。
26-27とされ、最後は中国の打点の高いスパイクに反応できず。
白熱した内容も、惜しくも日本は第1セットを奪われた。
第2セット
大接戦だった第1セットとは違い、第2セットは苦しい展開になった。
日本は林が最初の得点を決める。
関がコート外へ飛び込みながら必死にボールを追う。
だが、中国の強烈なスパイクに反応することができず、じょじょに点差が離され4-8。
2連続得点で6-8と追い上げるも、中国もすかさずサーブで日本を崩し3連続得点。
井上がブロックの間を抜くスパイクで7-11。
7-13とされ、日本はタイムアウトで間を取るも中国の勢いは止まらず失点。
リオ五輪金メダルメンバーのコン・ショウウに決められ7ー15。
ついには10-20と差が開いた。
井上のアタックが相手ブロックをはじき11-20。
長いラリーの末、またも井上がコート手前に落とし相手は反応できず12-21。
12-22から一時は失点の判定も、日本のチャレンジ(ブロックタッチ)が成功し13-22。
横田がクイックを決め15-23と反撃。続けて山田のダイレクトに中国は反応できず、16-23とする。
中国はコン・ショウウの得点でセットポイント。
日本は再び山田のクイックで17-24。
最後は中国にブロックをはじかれるスパイクで17-25。世界ランク4位の中国に、日本は土俵際まで追い込まれた。
第3セット
2セットを奪われ、後がない日本は古賀のサーブから。
反撃開始といきたかったが、相手のスパイクで先制点を奪われる。
互いに点を取り合い2-3となるも、山田のスパイクで同点に追いついた。
3-6とリードを許すも、またも山田がライトからのスパイクで相手ブロックを破る。
7-9から井上のスパイクが相手後衛の間をとらえる。中国が反応できず8-9に追い上げる。
福留が相手のスパイクを止めるも、返したボールを決められ9-11。
直後に井上のスパイクで日本も食い下がる。
11-12の時点。エース古賀がブロックをしようとジャンプした際に、相手コートへ転倒。
右足首付近を負傷した模様で、自力では歩けず。チームスタッフに抱えられてベンチに下がった。
突然のアクシデントに、両チームの選手が心配そうに駆け寄る。代わりに石川が入る。
コート付近での攻防を林が制し15-15の同点に追いつく。
またも林がネットをかすめるスパイクに中国は反応できない。日本が勝ち越し!
17-16から井上、山田の連続得点で3点リードにする。
日本はレシーブにミスが出るなどで失点。1点差まで追い上げを許し19-18。
日本が決めると中国も決める、譲らない攻防で20-19。
中国にタッチネットの反則などで23-20とリードを保つ。
しかしあと1歩のところで中国に追い上げを許し、23-22と1点差の攻防となる。
中国のスパイクがブロックをはじきそのままコートの外へ。同点となる。
中国がライトから後方に強いスパイクを決められ、逆にマッチポイントをとられる。
日本も負けじと横田のクイックでのスパイクで再び同点。
古賀の代わりに入った石川にサービスエースが生まれ25-24とセットポイントとするも、再び同点にされる。
その後も互いに点を取り合い27-27。
日本のスパイクがアウトに。ブロックタッチを疑い真鍋監督がチャレンジを要求するも失敗。
中国がマッチポイント。
最後は相手のブロックに屈し27-29。
日本は第1、第3セットを計7度のジュースに持ち込むも、悔しいストレート負け。
日本は2勝1敗。
中国は3連勝。
試合後のインタビューで、真鍋監督はエース古賀の負傷について「まだ分からない」と話すに止めた。
日本の1次ラウンド日程(全て日本時間午後9時15分開始)
☆30日(金) 日本×ブラジル(2位)
☆10月2日(日) 日本×アルゼンチン(22位)
※日本の世界ランクは7位、相手国下の( )内は世界ランク。
日本のスタメン
〈セッター〉
関菜々巳(23=東レ)
〈アウトサイドヒッター〉
林琴奈(22=JT)
古賀紗理那(26=NEC)
井上愛里沙(27=久光)
〈ミドルブロッカー〉
横田真未(24=デンソー)
島村春世(30=NEC)
〈リベロ〉
福留慧美(24=デンソー)
◆女子世界選手権・日本代表登録メンバー(背番号、ポジション、選手名、年齢)
2 アウトサイドヒッター 内瀬戸真実(30=埼玉上尾)
3 アウトサイドヒッター 古賀紗理那(26=NEC)
4 アウトサイドヒッター 石川真佑(22=東レ)
5 ミドルブロッカー 島村春世(30=NEC)
10 アウトサイドヒッター 井上愛里沙(27=久光)
12 セッター 籾井あき(21=JT)
15 アウトサイドヒッター 林琴奈(22=JT)
19 ミドルブロッカー 山田二千華(22=NEC)
22 リベロ 福留慧美(24=デンソー)
23 ミドルブロッカー 横田真未(24=デンソー)
26 アウトサイドヒッター 宮部藍梨(24=ヴィクトリーナ姫路)
30 セッター 関菜々巳(23=東レ)
37 アウトサイドヒッター 宮部愛芽世(20=東海大3年)
38 アウトサイドヒッター 佐藤淑乃(20=筑波大3年)
◆女子世界選手権
オランダとポーランドの共催で24カ国が参加。1次ラウンド(R)は6カ国づつ4組に分かれて総当たりで戦い、各組上位4カ国の計16カ国が突破。2次Rは8カ国が2組に分かれ、1次Rで対戦していない4カ国とのみ対戦し、上位4カ国が8強へ。3次Rからトーナメント制となり、2次Rで同組の1位と4位、2位と3位が準々決勝を戦い、勝者が準決勝へ。テクニカルタイムアウトなし、リクエストできるタイムアウトは1セット2回まで。
決勝は10月15日、オランダ・アペルドールン。