シニア本格参戦1年目の三浦佳生(17=オリエンタルバイオ/目黒日大高)が「王子に戻ること」を目標に掲げた。

ショートプログラム(SP)2位で迎えたフリーはトップの150・24点を記録したが、合計232・39点の2位。優勝した島田高志郎(木下グループ)に1・44点及ばなかった。

課題は明白だった。冒頭からトリプルアクセル(3回転半)、4回転-3回転の連続トーループ、4回転サルコーと加点付きで成功。「これはきた!」と思ったが、続くスピンが終わったころから「これはやばい」と嫌な予感がしたという。

体力不足で脚が動かず、続く3回転半で転倒。ステップを終えると4回転トーループに挑んだが、再び転倒し、壁に激突した。

「やばい、痛い、やばい、痛い、やばい、痛いって、“やばい、痛い”が続く演技でした」

今季のフリーは「美女と野獣」。演目全体を振り返る言葉は三浦らしかった。

「最初、野獣に変えられるところから始まって、最後は人間に戻る予定だったんですけれど、今日は野獣のまま美女のベルと踊っていた。最初から最後までビースト(野獣)。王子に戻れるように、グランプリ(GP)シリーズまでに頑張ります」

GPシリーズは第1戦スケートアメリカ(10月21~23日)と第2戦スケートカナダ(10月28~30日)の連戦。2週連続でSP、フリーを滑ることになり、体力の向上が鍵を握る。

「GPシリーズは表彰台を狙いたい。自分の演技を見せて、追いつけ、追い抜けで食らい付きたい。せっかく(GP第1戦で鍵山)優真と(第2戦で宇野)昌磨くんと被っている。先輩の背中を見ながら、自分の良さを海外で見せられたらと思います」

残すは約3週間。滑り込んで、今度こそは野獣から王子に戻る。【松本航】