スピードスケート女子の18年平昌オリンピック(五輪)500メートル金メダリストで、現役ラストレースを有終のVで飾った小平奈緒(36=相沢病院)が一夜明けた23日、インスタグラムに感謝の思いをつづった。

前日22日に地元長野での全日本距離別選手権500メートルで優勝。37秒49の好タイムで、北京五輪銀の高木美帆(28=日体大職)らを押さえて優勝した。満員の6085人が詰めかけた長野市エムウェーブで、第一人者のままで第一線に別れを告げた。

インスタには、前日の滑走写真と観客席のファンに手を振る写真と、それぞれに合わせた幼少時の写真を投稿した。メッセージは以下の通り(全文まま)。

「競技人生で1番幸せな日を無事に終えることができました」

「小学5年生の冬の出来事でした。今も心に刻まれている風景があります。スタート前の静寂から、号砲と共に一気に熱気を帯びた空気が広がって、息をのんで見守る人、ありったけの気持ちを声援に乗せる人。画面越しに、鳥肌が立つとはこういうことかと、その時初めて知りました」

「夢にまで見た風景が、あの時と同じ会場で、目の前に広がっていました。画面越しでは知り得なかった、人の温度だとか、呼吸だとか、空気感というものでしょうか、とにかく、これまでで1番心が震えた瞬間を生きることができました」

「みんなで作った優しくて温かい空間を、みんなで共鳴しながら過ごした時間は一生忘れられないものになりました」

「唯一無二の自己表現、究極の身体あそび、人の中で生きるということ。挙げれば数えきれない程の学びが、私の周りには常にたくさん転がっていました。夢中になって拾い上げていくうちに、この幸せな日に辿(たど)りつくことができました」

「この夏に、『あと10年やれそうだな。』と結城先生に言ってもらえたその一言は、“10年先の滑りを目指す”これまでの過程に、はなまるをもらえたような気分でした」

「“知るを愉しむ”その事をベースに、これまで歩んできました。そしてそれは、これからも私の軸にして生きていきたいと思っています」

「学校やスケートでは知り得なかった世界が、まだこの世にはたくさんある。その世界へ、足を踏み入れてみたいという冒険心が募ってきたのが“今”だったというのが、この競技に区切りをつけるきっかけになりました」

「これからの歩みは『できないこと』からの始まりです。初めてコーナーでクロスできた時のような、スリリングで刺激的な毎日の始まりです」

「まだまだ歩みは止めません。できれば、またたくさんの人と手を取り合って歩みを進めていきたいです」

「信州の山の頂上から、今ここに抱いているありったけの『ありがとう』を叫びたい気分です」

「ありがとうございました」