14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)2連覇王者で、今年7月にプロ転向した羽生結弦さん(27)が夢を現実にした初の単独アイスショーの1曲目は「SEIMEI」だった。

言わずと知れた18年平昌五輪のフリー曲。2つ目の金メダルを手中に収めた代名詞のナンバーを舞う…その前に、驚かせた。

「ただいまから6分間練習を開始します。選手は練習を始めてください」

公式戦と同じ試合前の最終調整。アイスショーでは極めて異例の試みからスタートした。

試合さながらの緊迫感でトリプルアクセル(3回転半)などを跳ぶ。ジャージーを脱ぎ「SEIMEI」の衣装が明らかになると、満員の会場から歓声が上がった。リンクサイドにプーさんのティッシュ箱を置くのも試合同様。6分間が終わると「1番、羽生結弦さん」のアナウンスで飛び出した。

4回転サルコー、4回転トーループを美しく着氷する。プロならでは、となったのは、この後だった。3回転半、3回転半-3回転トーループ、3回転半-1回転オイラー-3回転サルコーと、試合では認められていない構成を披露。ジャンプも7回から5回に絞って、より表現に磨きをかけたステップで魅了した。

いきなりのスタンディングオベーション。マイクなしで「ありがとうございました」と声を出し、最初の楽曲を終えた。【木下淳】