全国高校駅伝で5度優勝している福岡の私立大牟田高で駅伝部監督を務めていた50代男性教諭が、部員の男子生徒に平手打ちをするなどした体罰問題で、引責から退職した元監督は、部員・保護者会からの要望により、同部の部活指導員・支援員として復帰した。

学校側が11日、取材に応じ、認めた。

同校の藤吉寿行理事は、今回の異例の人事について「本人が行った行為と、保護者や部員からの嘆願は別問題と考えている」と説明。「保護者や部員から、体罰を2度と行わない誓約書を出した上で、現場に携わってほしいという意見があった。保護者の総意としての思い」と、状況を明らかにした。

学校側も、元監督について、当面は限定的な関与を認める方針。新監督をサポートしたり、アドバイスを行うほか、合宿などにも同行する予定だという。

元監督の体罰問題をめぐっては、昨年、3年生部員4人に対して、複数回平手打ちするなどの体罰を加えたというもの。学校の調査に体罰を認め、3月半ばに事態が発覚して以降、謹慎中だったが、退職願が提出されたことから、10日付で退職していた。

ところが、今回、保護者会などの要求を受け、翌11日付で、指導員の立場で復帰した形だ。

退職願の受理から翌日に現場復帰。この異例の展開に、藤吉理事は「教育の一環ですので、部員に不利益が発生しないようにしないといけない。一番大事なのは現場の生徒。生徒を第一に考えた」とした。

また、「教員としての立場は離れるが(体罰行為を起こさないことが)担保されるのであれば、指導員として関与することは許容できると学校としては判断した」と話し、生徒や保護者の意見を尊重したと繰り返した。