21年東京オリンピック(五輪)金メダルの阿部一二三(25=パーク24)が、決勝で宿命のライバル丸山城志郎(29=ミキハウス)を破り、大会2連覇(4度目)を遂げた。
規定の4分間では決着つかず、ゴールデンスコア(GS)の延長戦に突入。一進一退の攻防が続いた中、6分14秒(計10分14秒)で丸山に3つ目の指導が入った。
反則勝ちで阿部に凱歌(がいか)が上がると、王者は9回、手をたたいて喜びを爆発させた。重圧の大きさを物語る光景だった。
畳から下りると、先に女子52キロ級を制して見守っていた妹の詩(22=パーク24)と握手し、抱き合った。ドーハでも兄妹による同日Vを達成してみせた。
一二三は丸山に直接対決5連勝で、通算11度目の勝負を7勝4敗と勝ち越し。24年パリ五輪代表の座へ大きく近づいた。
危なげない勝ち上がりで体力も温存できていた。準決勝はフランスの選手に、開始わずか33秒の袖釣り込み腰で一本勝ち。準々決勝では東京五輪銀メダルのマルグベラシビリ(ジョージア)を合わせ技一本で一蹴していた。
伝説になったのは20年12月。東京五輪代表の座を懸けて丸山と日本柔道史上初のワンマッチで対戦した。「令和の巌流島決戦」と呼ばれた24分間の勝負を制した阿部は、東京五輪でも金メダルに輝いた。
その後も24年パリ五輪切符を争い、ライバル関係は続く。昨年10月の世界選手権タシケント大会(ウズベキスタン)決勝でも直接対決し、阿部が規定の4分以内に小外掛けで技ありを奪って優勢勝ち。対丸山戦4連勝、通算成績も6勝4敗と差を広げていた。
さらに全日本柔道連盟が3月に強化システムを改定し、早ければ来月にもパリ五輪代表の内定を受けることが可能になった。その最有力候補が妹の詩であり、兄の一二三だった。
この大会で2年連続4度目の制覇を果たせば、ライバル物語に決着がつく-。その公算が大きいとみられた中、宿敵を返り討ちして頂点に立った。
大会前に「できれば早く決まってほしい」と笑顔で打ち明けながらも「敵は自分自身。やるべきことをやれば絶対に負けない」と無双状態に自信を見せていた阿部が、その言葉を体現するにふさわしい結果を中東の地で示した。【木下淳】
◆試合後の阿部コメント「自分の理想とする隙のない、相手を投げ切る柔道を体現できた。決勝は最後まで強い気持ちで闘い、五輪王者の力を見せられたと思う。日本柔道と言えば阿部一二三と言われる存在になっていきたい」(共同)


