東京オリンピック(五輪)金メダリストの志土地真優(25=ジェイテクト)のパリ五輪での2連覇が極めて厳しい状況になった。

初戦をテクニカルフォール勝ちして迎えた準々決勝で、世界女王の藤波朱理(19=日体大2年)にフォール負け。昨年12月の全日本選手権でも準決勝で敗れて優勝を逃しており、今年9月の世界選手権(セルビア)代表入りの権利が消滅した。

同大会で出場した日本選手がメダルを獲得すれば、パリの代表に決まるため、自力での可能性がない状況に追い込まれた。

試合後、取材エリアに現れた志土地の目は赤くなっていた。涙をぬぐってきたのだろう。ただ、真っすぐ、包み隠す事なく、藤波への思いも伝えた。

「藤波選手がいたから、パリに向けて…。出てこなかったら、次を目指すかって言われたら、正直…。東京オリンピック終わって、すぐ、パリに行きたいっていう思いもあったんですけど、モチベーションを、ここまで維持することはできなかったのかなって」

連勝街道をまい進する後輩に、感謝のような気持ちもあった。強い人と戦いたかった。それが金メダルを手にした後も競技を続けた理由の1つだった。だから、試合前の抽選で願った。

「(シードの藤波と当たる)上のブロックに絶対に入りたかった。願いはかないました」。

準々決勝での対決に、心が沸き立った。そして、初めて戦ってみて感じた。

「肌を合わせて、相手の選手も練習を積んできたんだなっていうことが試合を通して組んでみて、改めてわかった。相手もオリンピックに行きたいっていう思いがすごくあの試合をしてる中で伝わって、本当に強かったな」。

涙はあふれていった。ただ、その本心は気高かった。今度についても、しっかりと言葉にした。

「この気持ちのまま終わるのは悔しいので、どんな形になるかわかんないんですけど、この後しっかり休んで考えたい」。

ただ、前を見つめて、意志を示した。