バスケットボール男子Bリーグ元MVPで、21年東京五輪日本代表の田中大貴(31)が、B1サンロッカーズ渋谷に移籍することが29日、日刊スポーツの取材で分かった。今季まで所属したB1アルバルク東京との契約が満了となり、5月30日付で自由交渉選手リストに公示されていた。

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Bリーグ創設前からアルバルク一筋でプレーしてきた田中にとって、大きな決断となった。愛着のあるチームを離れ、新天地へ移籍。A東京で5季指揮を執ったルカ・パビチェビッチ監督が、来季からSR渋谷を率いることも大きかったとみられる。今季は腰椎椎間板ヘルニアの影響で出場14試合にとどまったが、新たな環境でさらなる進化を目指す。

精度の高いシュート力に加え、視野の広いプレーで攻守に存在感を示すオールラウンドプレーヤー。19-20年シーズンにはレギュラーシーズンMVPを受賞し、4年連続ベスト5にも選出された。主将として名門チームをけん引するなど、人間性も高く評価されている。

日本代表として長く活躍し、21年東京五輪では本職とは異なる司令塔役のポイントガードを担った。Bリーグオールスター6度選出の人気選手とあって、自由交渉選手リスト公示後は動向が注目されていた。今月21日には日本代表の富樫勇樹(千葉J)がSNSで、田中に呼びかける形で「まだ?」とツイート。田中は「今からサウナ入るけどどした?」と返信したが、すべてが整った。

SR渋谷は、昨年6月に親会社が日立製作所からセガサミーホールディングスに変わった。資金面の全面的支援を受け、今オフは大型補強に着手。日本代表監督代行経験を持つBリーグ2連覇の名将パビチェビッチ監督を招請した。さらに、今夏開幕のワールドカップ(W杯)で日本代表として活躍が期待されるビッグマン、ジョシュ・ホーキンソン(信州)や、同日本代表候補の永吉佑也(福岡)を獲得。28日には日本代表歴を持つアキ・チェンバース(群馬)の復帰も発表した。東京五輪代表のベンドラメ礼生ら現有戦力の引き留めにも成功している。

今季は28勝32敗で中地区4位にとどまったSR渋谷だが、初の地区優勝どころか、リーグ制覇さえ狙える布陣となった。壮大な再開発で生まれ変わりつつあるのは、巨大ターミナル渋谷駅前の風景だけではない。そこにホームタウンを置くプロバスケチームも、大きな変貌を遂げようとしている。

◆田中大貴(たなか・だいき) 1991年(平3)9月3日生まれ、長崎県出身。長崎西高から東海大を経て、13-14年シーズン途中にBリーグ統合前のNBL、トヨタ自動車アルバルク東京にアーリーエントリー制度で加入。翌シーズンには新人王にあたるルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。Bリーグでも常勝チームの中心選手として活躍し、19-20年シーズンにはレギュラーシーズンMVPを受賞。日本代表でも長く活躍し、21年東京五輪出場。オフの過ごし方は「朝活してコーヒー屋をはしご祭り」。193センチ、92キロ。