来夏のパリ五輪予選として開催されるW杯バレーが、いよいよ迫ってきた。女子は16日、男子は30日に、ともに東京・代々木第1体育館で幕を開ける。先陣を切る女子日本代表(世界ランキング8位)の初戦の相手はペルー。92年バルセロナ五輪以来となる大会1年前の出場権獲得を目指すチームのキーマンを「火の鳥の羽」(全6回)と題して紹介する。

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ミドルブロッカー山田二千華(23=NEC)は、W杯バレーでの逆襲に燃えている。2年連続ベスト8に終わったネーションズリーグ(VNL)では「ミドルのアタック得点が少なかった。中盤以降で使えれば強みになる」と反省。パリ五輪の出場権獲得へ、攻守で粉骨砕身の活躍を誓う。

184センチの長身を生かしたブロックが強みだが、最近は攻撃面で自信を深めた。5位となった昨年の世界選手権。格上ブラジルを相手に12本のアタックを決めた。「自分のオフェンスが通用する。逆にやらないと勝てないことも分かった」。主力の自覚を強くしたが、初めて代表入りした20年当時は、今のように積極的に先頭に立つタイプではなかった。サーブの順番の度に「どうしよう」。スパイクも「上がってきたら決めなきゃ…」。責任感が逆にプレッシャーとなり、弱気になることさえあった。

そんなメンタルを変えてくれたのは真鍋監督だった。21年10月に再就任したプラス思考の指揮官には、ことあるごとに「本人次第で気持ちは1秒で変わる」と説かれてきた。初めはその回数の多さから「マインドコントロールみたいだった」と笑うが、徐々に考え方は前向きになった。「代表は誰でも来られる場所じゃない。こんな考えではダメ」。今では「準備できているからいつでも上げて!」と自信をもって呼び込めるようになった。

同ポジションの入沢からも刺激を受ける。同じ99年度生まれで、VNLでは同部屋の仲良し。ライバルでもあるが「1人で戦うわけではない。情報共有が必要」と助言を送り合う。「みんなの覚悟と責任感が大切」。山田のここぞのアタックと献身性が、日本をぐっと強くする。【勝部晃多】

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