今大会で念願のプロツアー初勝利を飾り、快進撃を続けている世界ランキング215位の望月慎太郎(20=IMGアカデミー)が、日本勢では18年錦織圭以来となる4強入りを決めた。準々決勝で同41位のアレクセイ・ポピリン(オーストラリア)と対戦し、7-5、2-6、7-5で退けた。元ウィンブルドン・ジュニア王者の20歳は、1回戦で同31位のエチェベリを破って念願のツアー初勝利。前日19日の2回戦では、前年覇者で同10位のフリッツにタイブレークで退け、快進撃を続ける。準決勝は21日、同50位のカラツェフと対戦する。

「やれることをやって、走って走って走りまくって、それで負けたら仕方ない」

そのスタイルは、錦織圭先輩以来の記録がかかる準々決勝の舞台でもまるで変わらなかった。前日19日にはフリッツと死闘を演じたが、その疲労の色は全く見せない。196センチの長身から放たれる角度のあるサーブに手を焼きながらも、ネット際の攻防で粘りに粘り、格上をじわりじわりと追い詰めていった。

第1セット(S)から一進一退の攻防。第1ゲーム(G)でいきなりラブゲームブレークを許すも、第2Gでリターンエースを決めるなどすぐにブレークバック。その後はキープを続けると、第12Gは相手のミスに付け込んでブレークに成功し、7-5で先取した。

第2Sは2-6で落としたものの、第3Sは再び本領発揮。サービスキープの応酬の末に、第1S同様、第12Gに相手のミスを誘って勝負を決めた。

21本のエースを決められながらもコートを縦横無尽に駆け回り、ボールに泥くさく食らい付いた。連夜のアップセットに試合後は「とにかく体がきつい」と苦笑い。「なんとか我慢していたらチャンスは来ると思っていたので堪え続けた。試合の途中に結構人がいるな思った。ありがとうございます」と大観衆に応えた。

3歳で競技を開始。15年に盛田正明テニスファンドの奨学生として錦織圭らが所属する米国のIMGアカデミーに渡った。19年のウィンブルドンで日本男子初の4大大会ジュニアのシングルスを制覇するなど結果を残してきたが、プロ転向後には伸び悩みも経験した。

だが「ずっと良いプレーしてて取り切れなかっただけ」と前を向き続けた。23年にウィンブルドンで4大大会本戦初出場を果たし、このジャパンオープンで初勝利。並みいる強豪を撃破し「ここまで乗り越えてきたので自分を信じてプレーした」と言った。「実感ない。また明日試合できることが一番うれしい」。優勝のチャンスもあるが「期待しないでください」と笑った。新星の快進撃はどこまでも続く。【勝部晃多】

◆放送 テニス男子ツアーの木下グループ・ジャパン・オープンはWOWOWで連日独占生放送、WOWOWオンデマンドでは全コート配信予定。