<フィギュアスケート:グランプリ(GP)ファイナル>◇9日◇最終日◇北京・国家体育館◇女子フリー

【北京=藤塚大輔】ショートプログラム(SP)で今季世界最高得点77.35点をマークした坂本花織(23=シスメックス)が、女子フリーで148・35点を記録し、合計225・70点でGPファイナル初優勝を飾った。これで4大陸選手権、世界選手権と合わせ、国際スケート連盟(ISU)主催の主要3大会で金メダルを獲得し、浅田真央に続き、日本女子2人目の快挙。「よくやった!って言いたいです」と自分を褒めた。

3度目の出場で悲願の頂点へ挑んだフリーだった。冒頭のダブルアクセル(2回転半)を雄大に決めると、完成度が高い作品を中国のファンに披露していく。後半に3回転フリップの着地が乱れて連続技にできなかったが、最後の3回転ループに2回転トーループをつけてリカバリーした。

全日本選手権と世界選手権2連覇中で、これまでGPファイナルに2度出場も、18年4位、22年5位と表彰台に届かなかった。昨季はSP首位発進ながらフリーで最下位となったが、そのリベンジも果たした。「やっぱり自分に勝ちたい、ライバルは過去の自分。自分に打ち勝てたのがすごくうれしかった」。GPシリーズからの連勝を「3」に伸ばし、公言していた「イチ、イチ、イチ(1位、1位、1位)」を達成した。

 

今年4月に23歳を迎え、11月に競技人生20年目に突入した今季は、オフシーズンに1週間以上の休養をとった。ケガ以外でこれだけオフをとったのは、4歳で競技を始め「この19年間で初めて」のこと。北京五輪直後のシーズンとなった昨季はモチベーションの維持に苦しんだが、今季はその“休養効果”もあり「ずっと前向き。スケートが楽しい」と好調を持続している。

 

演技向上のためにも、前向きに日々を過ごしてきた。これまでは移動手段として車を頻用していたが、今年は「なるべく電車に乗ったり、歩いたり」と工夫。昨年は体重が増加した時期もあったが、今季は「増えきらずに済んだ」と手応えを得ている。振り付けでは連動的な動きを意識。フリープログラムの「Wild is the Wind/Feeling Good」ではミステリアスさも表現した。

 

「弱い部分があるからこそ、またそこから頑張ろう、はいあがろうと思って、頑張ることができる。それを乗り越えることで、より一層強くなれるのかなと身をもって感じられた。これからの糧になると思いました」。先に挑むのは全日本選手権と世界選手権での3連覇。「次の目標は直近は全日本選手権。3連覇目指してすぐに切り替えていきたい」。初タイトルを獲得し、勢いそのままに大目標へ突き進んでいく。