クラブ史上初めて東京でホーム試合を開催した島根が快勝した。
地域密着をコンセプトとするBリーグでは異例となる、地方クラブ主催の“首都圏ゲーム”。その背景には、26年から始まるBプレミア参入に向けて全国的認知度や人気を高め、さらなる観客増を目指すといった狙いがある。本拠地とする松江市総合体育館の最大収容は4000人規模。この日の観衆は5215人で、クラブ主管最多記録を更新した。とはいえ最大1万人規模の収容力を持つアリーナだけに、さらなる受け入れの余地はあった。
選手にとって、普段と異なる場所での“ホーム開催”は、アドバンテージを十分に生かせない可能性がある。移動に伴う時間的ロスや身体面での負担が発生する。いつも応援してくれるようなファンとの一体感も、簡単には醸成できない。戦い慣れていないアリーナだと、繊細なシュートタッチに乱れも生じやすい。
だからこそ今回の東京開催を耳にしたとき、ポール・ヘナレ監督は戸惑いがあったことを明かす。事実、この日の立ち上がりの時間帯は、なかなかシュートが決まらなかった。「体育館の奥行きや、目の錯覚などもある」と指揮官は説明。それでも大声援を受けながら、選手たちは徐々に対応し、感覚を取り戻した。18得点を挙げて勝利に貢献した安藤誓哉は「(試合中に)いつの間にか慣れた」。東京五輪に合わせて新設されたアリーナで初めてプレーし、大勢のファンを沸かせた。
親会社バンダイナムコエンターテインメントとのコラボレーション企画も展開された。人気ゲーム『アイドルマスター』の声優によるトークイベントやライブを、ハーフタイムなどに実施。バスケを見るのは初めてという層も、会場に多く詰めかけた。安藤は「バスケも趣味の1つとしてもらえたらうれしい」と笑顔でアピールした。
Bリーグ発足以前から、島根は地元に根ざしたクラブ運営を行ってきた。だからこそ、今回のホーム開催を複雑に感じる声も存在する。その是非は別として、競技やチームについて広く知ってもらうことの大切さは、多くの人たちが認識している。
地元アリーナでは名物となった光と音を駆使した壮大な演出は、武蔵野の森でも健在だった。島根からも移動してきたキッチンカーには長い行列ができた。場内には地元の観光PRコーナーも設置された。ヘナレ監督は「クラブとして観客動員を増やしたいことは理解できるし、我々のチームを全国の皆さんに知っていただくいい機会」と前向きに受け止めた。そのうえで「会場も素晴らしかったし、たくさんの方に来ていただいた。結果として、とても良かったと思う」と強調した。
同会場での試合は、21日にも行われる。【奥岡幹浩】


