プロフィギュアスケーター高橋大輔さん(37)が手がける新たなアイスショー「滑走屋」が10日、オーヴィジョンアイスアリーナ福岡で初日を迎える。9日は会場で公開リハーサルを実施。全員が黒の衣装、14分にわたって続くオープニングで幕を開け、フィナーレ前にはソロナンバーも演じた。

従来のショーの多くが2部制だが、今回はノンストップ。チケット代は最低6000円と価格を抑え、12日までの3日間で9公演を予定する。福岡入り前からほとんど眠る時間がなかったという高橋さんは「75分にギュッとつめこんで、あっという間に終わる。見たことがないアイスショーを目指している。明日から全力でやらせてもらいます。9回目に体力が残っていて、最高の出来になっていくことを願っています」と疲れをにじませながらも誓った。

「滑走屋」というタイトルだが「和」の方向に進むことは望んでいないという。出演者は自身が競技会などを巡り、スケートがパワフルで、力強い選手に声をかけていった。全員が日本人。ショーに出るのが初めてのスケーターもいる。

「スピード感、力強さを軸において、その中で転換のところで緩急をつける。(シングルの)スケーターはカウントをとって滑るのが難しい。ダンスの世界はカウントを取って、バシッと決まる。カウントを合わす。カウントを取ることで、その先に聞こえる音がある。気づいて、持ち帰っていただければと思います」

新しいアイスショー作りに奮闘する一方、スケート界の発展への思いも持つ。

「この経験を持って、若いスケーターが『魅せるってジャンプだけじゃない』(と思ってもらえるとうれしい)。今、現役の世界でテクニカルな部分が目立っているところもあると思いますが、ジャンプがなくても感動できる。伝わる物がある」

全体の振り付けを担当するのは、劇団四季出身で演出家の鈴木ゆまさん。高橋は「立ち位置、振り付けのカウント、本当に細かいところまで突き詰めてくれた。新しい挑戦です」と本番を待ちわびた。【松本航】