2大会連続で銅メダルの日本(世界ランキング3位)が、悲願の金メダルを獲得した。決勝で米国(同2位)に7点差で完勝。第1ピリオド(P)にいきなり3点差をつけられたが、第2Pに逆転すると、後半に突き放した。7月30日の1次リーグ第2戦でも45-42の勝利を収めていた、東京パラリンピックの銀メダル国を再び破り、今大会5戦全勝で頂点に立った。応援団と歓喜の涙を分かち合った。
感動の円陣で池透暢主将(44)は「最高の日本チームでした! 最高のスタッフでした!」。宿願成就に大声を張り上げた。
池主将「ありがとうございまーす! やりました。目標としていた、みんなの夢がかなった最高の瞬間。最高の喜びがここにありました。3点ビハインドも、積み重ねてきた年月は、そんな3点に負けるものじゃない。もう最高です。アスリートとして最高の喜びをここで感じられて幸せですし、日本でも応援してくれた皆さんに感謝したいと思います」
◆第1P 日本11-14米国
8分間×4Pで勝敗を争う競技。第1Pはいきなり3点ビハインドの劣勢となった。近年、敗れていない相手ではあったが、日本が初めて経験する決勝の重圧か。インターセプトやパスカットを食らい、早々に大きなリードを奪われた。米国は2度の金メダルを誇り、その差を見せつけられた形となった。
◆第2P 日本13-9米国
(計) 日本24-23米国
生命線の守備が光り、大逆転した。体を張ったタックル、パスコースをつぶす献身性で米国にボールを運ばせない。一進一退の展開で新エース橋本勝也(22)が相手のパスをブロックして自ら拾ってトライの離れ業。反対に1点リードとして前半を折り返した。
◆第3P 日本11-9米国
(計) 日本35-32米国
準決勝で日本は、第4Pに2点を追う敗色濃厚の危機から、世界ランキング1位のオーストラリアに、延長戦の末に52-51で逆転勝ちしていた。16年リオデジャネイロ大会の準決勝で敗れた雪辱を果たし、過去3大会連続で阻まれていたセミファイナルの壁を初めて突破。銀メダル以上を確定させたが、満足していなかった。
洗練された守備が、ハーフタイムを挟んでなお輝きを増す。米国を追いつめ、時間管理に重要な30秒タイムアウトを、このピリオドで全て消費させた。その後も乗松聖矢(34)の強力なブロックでターンオーバーを重ね、残り3分25秒で2点リードに広げた。同2分23秒で3点差。着実に勝利へ近づいた。
◆第4P 日本13-9米国
(計) 日本48-41米国
車いすラグビーは男女混合で行われ、倉橋香衣(商船三井)も日本で唯一の女子選手として貢献した。この競技は、障害の程度が重い選手から0・5~3・5点の持ち点が付与される。コート上の4人の合計は8点以内に収めなければならないが、女子選手を起用している時は上限が0・5点アップする。その分、障害の程度が軽い選手を起用する余地が生まれ、橋本らの躍動につながった。
最終Pは日本ボールで始まり、リードを3点から4点として最後の8分間が始まった。さらにミスを誘って残り7分11秒で5点差。セーフティーリードも油断することなく、堅実に1点ずる積み上げた。世界屈指のスピードと操車技術で日本代表を長く引っ張ってきた池崎大輔(46)や、ロングパスが武器の池主将の「イケイケ」コンビも健在。40代中盤の2人が花の都でも衰え知らずだった。
世代交代が急務だった中で橋本が育った。19歳だった前回自国開催でチームに貢献し切れず、涙した。
「この光景を忘れるな」
池崎からの言葉を胸に、福島・三春町役場を退職した。競技に専念。東京との往復生活でスキルや戦術眼を磨いてきた。切れ味の鋭い突破でトライを重ね、日本の5戦全勝に尽力。今大会は胸を張れる。決勝も、米国が得意とする連係プレーをシャットアウト。最後も米国のラストプレーをカットし、ウイニングラン。念願の、世界最高峰に導いた。
岸光太郎ヘッドコーチ「本当に選手が頑張ってくれました。いいディフェンスだったと思います。頼もしい、最高の選手。感謝。何と言っていいか分からない」
◆車いすラグビー 車いすに乗った、四肢に障がいがある選手が4対4で対戦する。コートの広さはバスケットボールと同じ。丸いボールを、パスや膝の上に乗せてトライラインまで運ぶ。車いすを激しくぶつけるタックルが認められており「マーダーボール(殺人球技)」と形容される接触プレーが繰り広げられる。日本は18年の世界選手権で初の金メダルも、パラリンピックは銅が最高。04年アテネ大会の初出場から6大会目の悲願が優勝だった。


