<ラグビーW杯:オーストラリア11-9南アフリカ>◇準々決勝◇9日◇ウェリントン

 ゴールドのジャージーが、ただただタックルを繰り返した。オーストラリアのタックル数は相手の3倍近い147回。地域支配率で76%、ボール保有率でも56%と南アフリカが一方的に優位だった試合をディフェンスでものにした。

 前半11分の先制トライも防御から挙げた。SOクーパーの長いキックで相手陣に深く進入。ラインアウトからのラックに激しく絡むと球がこぼれ、ロックのホーウィル主将がインゴールに飛び込んだ。しかし、その後は防戦一方。スクラムで反則を取られ、ラインアウトではボールを失う。セットプレーから意図的に攻撃を仕掛ける場面はほとんどなかった。

 それでも南アにトライは許さない。181センチと世界レベルでは小柄なフランカーのポーコックが密集で奮闘。後半10分すぎに南アのナンバー8スピースがスクラムから仕掛けたサイド攻撃はWTBオコナーとフランカーのエルソムが2人掛かりでタッチに押し出した。

 後半20分にDGで逆転されたが、32分のPGで再逆転。終了間際も反則を犯すことなくタックルし続け、最後は根負けした南アがノックオン。オーストラリアの集中力は80分間途切れなかった。

 記者会見場に傷だらけの顔で現れたホーウィル主将は「選手全員の献身のおかげ。すごい気合で、この結果をものにした」と仲間をたたえた。