<体操:全日本団体・種目別選手権〉◇初日◇20日◇東京・国立代々木競技場

 関西高(岡山)3年の菊池収祐(しゅうすけ、18)が、床運動予選で世界選手権個人総合金メダリストの内村航平(20)を抑え、16・000点でトップ通過した。日本で菊池にしかできないF難度の大技「タマヨ」を完ぺきに決めた。09年全日本ジュニアの跳馬で優勝しているが、全国的には無名の存在。12年ロンドン五輪へ、楽しみなホープが登場した。

 内村も真っ青の大技だった。菊池がスタートで「タマヨ」を決めると、会場がどよめいた。後ろ跳びひねり前方伸身2回宙返りのF難度技。日本協会によると、世界でもこなせるのは数人で、日本では菊池だけという。その後も伸身月面宙返り、終末技では後方伸身2回宙返りのE難度技など大技3発。床運動を最も得意とする内村を0・200点抑えて首位通過した。それでも本人は「(内村に勝って)誇りに思う。それでも予選だから力の8割ぐらい」と豪語した。

 8月の全日本ジュニアで床運動で優勝を逃し、今大会の同種目の出場権を得られなかった。しかし、自ら演じたタマヨのビデオを日本協会に送ってアピール。審判員の認可をもらい、今大会の出場権を得た。関西高出身では、北京五輪代表で全日本の床運動2連覇中の沖口がいるが、藤原監督は「(菊池は)沖口が高校の時より上」と話す。「床運動は優勝したい。ロンドンに向けてがんばります」。日本体操界に、またホープが現れた。【吉松忠弘】

 ◆菊池収祐(きくち・しゅうすけ)

 1991年(平成3年)10月30日、旭川市生まれ。小4年で旭川エクセルクラブで体操を始め、高校から岡山の関西高へ。09年全日本ジュニア、高校総体の種目別跳馬で優勝。個人総合は全日本ジュニア42位、高校総体は26位。来年4月から仙台大に進学予定。156センチ、53キロ。