ラグビー日本代表は7日、ワールドカップ(W杯)日本大会1次リーグ最終戦のスコットランド戦(13日、横浜・日産スタジアム)に向けて都内で再始動した。

得点ランキング首位のSO田村優(30=キヤノン)は個人記録に興味を示さず、目標の8強に対する思いを強調。前回大会の雪辱へ、闘志を燃やした。

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クールな司令塔が、珍しく高揚感をにじませた。全員でウエートトレーニングを行い、都内ホテルの記者会見に出席。田村はCTBでフル出場した4年前、唯一の黒星を喫したスコットランドを頭に浮かべた。

「巡り合わせかな、と思います。みんな、いろいろな思いがある。リーチもテンションが上がっている。僕自身も高ぶっている。日曜日、爆発するはずです」

今季全試合で先発SOを務める。前戦のサモア戦では4PG、3ゴールで計18得点。W杯3戦で40得点を稼ぎ、大会の得点ランクトップを走る。日本の快進撃を象徴する記録だが「(意識は)あまりないです」と2度繰り返し、「マツ(WTB松島)はトライ王になると思います」。個人の名誉には関心がなく、チームの勝利だけを考えている。

開幕ロシア戦の後半には約45メートルのPGを成功。それまで普段は問題ないキックを外し、リーチから「狙え」と諭された。「リーチが僕に勇気を持たせるチャンスをくれた」。右足に懸かる重圧は、自分にしか分からない。大会中も試行錯誤しながら、勝利へと導き「3試合して徐々に体もなじんできた。どこからでも狙える」と上昇気流に乗る。

周囲が信頼を置くのは、ゲーム理解力。状況に応じて的確な選択をし、BKラインを操る。「(キックは)僕のプレーの、ほんの数%。ラグビーには他にも大事なことがある。最高の準備をする1週間にしたい」。熱さを包み込む冷静さで、日本を新しい境地へと連れて行く。【松本航】