<大相撲初場所>◇13日目◇22日◇東京・両国国技館

 横綱朝青龍(29=高砂)が、歴代単独3位となる25回目の賜杯に王手をかけた。大関琴欧洲(26)を自身初の決まり手「かいなひねり」で下して1敗を死守。ライバルの横綱白鵬(24)が大関魁皇(37)に敗れて3敗目を喫したため、14日目に勝てば、千秋楽を待たずに優勝が決まる。一方、16日未明に泥酔し、都内路上で知人を殴るなど大暴れした騒動について、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)が場所後に本人と師匠の高砂親方(元大関朝潮)を呼び、厳重注意することを決めた。

 「暴れん坊将軍」が、今度はワザで魅せた。昨年3勝3敗と五分の琴欧洲戦。立ち合いで左前みつを引いて頭を付けると、右手で相手の左を封じつつ好機を待った。「がっぷり行くと(琴欧洲は)大きいからね。何かやらないとと思っただけ」。とっさに両手で相手の左手首をつかみ、絶好のタイミングでかいなひねり。直後にライバル白鵬が3敗目を喫したため、14日目にも25回目の優勝が決まる状況となった。

 スピードあふれる相撲が身上の朝青龍だが、意外にも決まり手の数も豊富だ。かいなひねりは00年秋場所の新十両昇進以降、初の決まり手で現役力士トップとなる42手目(幕内では41手目)となった。「イチかバチかだったな。あれ、2度やったら無理だった。瞬間的だったんでよかったね」と自画自賛。幕内最多の決まり手数更新を知ると「ほんと?

 ワザ師?」と報道陣に笑顔で同意を求めた。

 ところが今月16日未明に警察まで出動した「泥酔暴力騒動」に話が及ぶと、表情を一変させた。「大したことない、あれは」。スポーツ各紙が大きく取り上げたことについて「(1面とか)そういうことじゃない」と不機嫌になった。一連の報道について、師匠の高砂親方は「(武蔵川)理事長のところに報告に行った」。被害者は、先代高砂親方(元小結富士錦)の次男でマネジャーの一宮章広氏(31)?

 との問いにも「その通り」と認めた。

 14日目にも朝青龍の優勝が決まる状況に、武蔵川理事長は「朝青龍は左前みつを取って、まわしを与えずにね。うまいよ、やっぱり」と相撲内容については絶賛。だが騒動について聞かれると、表情を曇らせながら「師匠から報告があった。場所後に師匠を含め(本人に)厳重注意しないといけない」。前日の不問から一転、処分を科す意向を明かした。

 着々と優勝回数を伸ばして行く中、品格がなかなか身に付かない朝青龍。いつになったら、落ち着くのか。【山田大介】