角界に“IT革命”が起きる!?

 日本相撲協会が全51部屋に1台ずつ、米アップルの新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」の配布を計画していることが17日、分かった。関係者が明かしたもので、相次ぐ不祥事で情報が入り乱れる中、正確で速やかな情報伝達を目指し、一部の理事らが発案した。本体価格は4万8800~8万1800円。実現すれば購入に総額250万円ほどにも達する費用は、相撲協会が負担する見込みだ。

 電話とファクスだけだった相撲協会から各部屋への連絡手段に、iPadという最新機器が加わる可能性が出てきた。最近は、賭博問題や維持員席での暴力団関係者観戦問題と、相次ぐ不祥事が発覚。だが大部分の親方や力士らは、新聞などの報道を通じて情報を得るだけだった。関係者は「情報が入ってこないという内部の声が多かった。正確に伝えるためには、iPadを使ってメールを送った方がいいという理事の意見があった」と、全51部屋に1台ずつ配布する計画を明かした。

 発端は賭博問題の際の実態調査だった。相撲協会はすべての部屋にアンケートをファクスしたはずだったが、届いていなかったり、親方が名古屋場所担当で先乗りしていたため、放置されたままということがあった。結果、期限を過ぎてから回答するケースがあるなど混乱がみられた。ガバナンス(組織統治)の整備に関する独立委員会は前日16日の会合で、外部から広報を公募する案をまとめ、理事会に提案すると決定。その広報の仕事の核となる、正確で速やかな情報発信を手助けすることになる。

 パソコンではなくiPadを選択したのは、角界ならではの理由がある。親方や力士は体に比例して指も太い、携帯電話やパソコンでメールを送ろうとしても、同時に2、3個のボタンやキーを押してしまう。だがiPadは大きな画面をタッチして操作する。日本で今年5月末に発売された最新機器は、協会員の不満も協会執行部の抱える問題も、一気に解消することになる。

 総額は250万円にも達し、最も高価なバージョンでそろえると400万円を超える。それでも角界の将来のためと思えば、決して高い買い物ではないはず。関係者は「使い方の講習会を開かないと」と、早くも購入後のケアも想定していた。