大相撲の八百長問題が、モンゴルでも日本同様に社会問題となっていることが13日、分かった。同国出身力士は、初場所で幕内に12人。うち2人に疑惑が浮上し、当初から注目度は高かった。さらに特別調査委員会による調査が、母国で絶大な人気を誇る元横綱朝青龍(30)にも及ぶ可能性があり、地元メディアでは出馬の可能性がある来年の総選挙に当たるモンゴル国民大会議(国会)への影響を懸念している。

 当初の過熱報道が収まりつつあったモンゴルで、八百長問題の話題が再び注目され始めた。発端は八百長問題を調査している、特別調査委員会による11日の発表だった。1度は調査対象外とした朝青龍を、11日になって突如、調査対象とする可能性があると訂正。地元紙では「もしも朝青龍から疑惑が浮上でもしたら」と、力士として初めてモンゴルの「国民栄誉賞」を受賞した、英雄の身を心配する論調の記事が相次いだ。

 朝青龍に人気があるだけでなく、来年の母国総選挙への出馬がささやかれているだけに、社会問題としてとらえられている。警察とは違い、調査委の事情聴取には拘束力がなく、多忙を極める朝青龍にスケジュールの余裕はない。4日に来日したかと思えば、この日はホノルルから成田空港に再来日。さらに07年1月発売の週刊誌に、八百長疑惑を報じられたが勝訴しているだけに、母国でも「大丈夫」という機運が高まっている。一方で「調査の結果、少しでも疑惑が浮上すれば選挙に影響するのは必至」とも報じられている。

 もともと八百長問題が発覚した当初から、ともに幕内の翔天狼と光龍という2人のモンゴル人力士に疑惑があり、現地の注目度は高かった。元小結旭鷲山で、現在はモンゴル国会議員のバトバヤル氏は「モンゴルの2人の力士は八百長を認めていないが、私自身もモンゴル人が八百長をしたとは信じられない」と、潔白を確信している。日刊スポーツの取材にも、首都ウランバートル市内の50代男性は「八百長は賛成できないが、信じられない」、30代男性は「もし本当にあったとしたら、一生相撲は見ない」と、無実を信じる声が圧倒的。モンゴルでは、祈るような気持ちで八百長問題の決着を見守っている。