日本相撲協会の理事選挙で「立会演説会」が行われる。立候補届け出が26日、東京・両国国技館で受け付けられ、理事定数10人に対して過去最多の12人が立候補し、2期連続で選挙になることが決まった。選挙管理委員会の武隈委員長(元関脇黒姫山)は「投票前にぜひやりたいと思います」と、立候補者に演説の場を設けることを明かした。

 選挙は今回が4回目で投票日は30日。票を入れる評議員109人が集まる場で、立候補者は今後の抱負や決意を述べることになる。古株の親方によると演説は初めてという。12人の候補者のうち理事長復帰が見込まれる北の湖親方(元横綱)、2選に臨む貴乃花親方(元横綱)ら9人は当選が有力。残る1枠を九重親方(元横綱千代の富士)、友綱親方(元関脇魁輝)、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が争う構図になる。

 各一門は多くが票固めをしており、演説によって動く可能性のある浮動票は、まずない。しかし、公の場で話すことで、立候補者に大役を担う自覚を促し、発言に責任が生まれる。一般社会の選挙に近づけることで、世間への角界正常化へのアピールにもなる。友綱親方は「今の体制を後戻りさせず、協会が少しでも前進していけるような力になりたい。公益法人以降もきちっとした形になるまでやりたい」と抱負を述べた。二所ノ関一門は決選投票も想定して意思を固め、高砂一門は今日27日に、一門内で票割りを決める。2年に1度の改選は、立候補者にとって決意表明の場にもなる。【佐々木一郎】

 ◆日本相撲協会の理事選投票方法

 用紙に候補者の名前を記名し、投票するという従来のやり方に戻す。前回は候補者の名前の上に○をつける方法だったが、選挙管理委員会の武隈委員長(元関脇黒姫山)は「皆さんが都議や府議でやるのと同じような体制を取ります」。投票用紙は立会人に見せる必要はなく、開票後は廃棄する。