横綱が涙で友の旅立ちを祝った。大相撲名古屋場所を最後に引退した元幕内龍皇(30=宮城野)の断髪式が1日、東京・両国国技館で行われた。モンゴルから1年早く来日した兄弟子と同じ3月11日が誕生日の横綱白鵬(28)は、はさみを入れる際に涙し「(新弟子時代)一緒に引退しようと話していた。正直、許せない。寂しいし悔しい。契約しておけば良かった。先にやめてずるい」と「良きライバルでいい友人」と慕うからこその言葉を贈った。

 名残惜しさから、最後にサプライズを演出した。新入幕の07年夏場所で10勝するも敢闘賞を逃した龍皇へ「もらうはずだった敢闘賞をあらためて私が祝福したい」とトロフィーをつくって贈った。米ワシントンで法律を勉強するため17日に渡米する龍皇は「横綱が入らなかったら2、3年でやめていた。日本に来て良かった」と振り返った。横綱は「いなくても頑張るところを見せたいね」と寂しさを押し殺していた。