大相撲夏巡業は17日、北海道・釧路市をもって全日程を終了した。巡業部の芝田山副部長(元横綱大乃国)は、満員御礼続出に感謝する一方、課題も挙げた。「弁当の改善だよね。昼も夜もでは内容も似通ってしまう。力士の健康管理も大事だから検討したい」。10月10日から全国13カ所で開催する秋巡業をにらみ「食の改革」を提案した。

 現在、巡業中の力士の昼と夜の食事は弁当が基本。夜は宿泊地周辺で外食の場合もあるが、千代丸は「北海道では3日間カップラーメン」。来月で40歳の前頭5枚目旭天鵬(39=友綱)も「どうしても揚げ物が多くなるから、結構つらいよね」と、悩みは深い。

 以前は巡業でちゃんこを自らつくっていた時代もある。観客に振る舞い交流にもつながった。元横綱大鵬が角界入りしたきっかけは、巡業の食事に感銘を受けたことだった。だが、消防法の改正や、衛生管理面が影響し、弁当が主流となった。若手ホープの遠藤は「今年の伊勢神宮ではバイキング形式だった。お弁当だと野菜が不足しがち。バイキングは、バランス良く食べられてうれしい」と、食事の大切さを自覚する。

 芝田山親方は巡業の食を管理する“食事係”の設置も検討している。「夏であれば地元業者にお願いして、今日はそうめん、明日は冷やし中華、なんていう形もできるんじゃないか。鍋物をつくってくれるところもあると思う」。

 最初の横浜市では中華まんやシューマイ、富山・高岡市ではほうれん草でスープをつくるB級グルメのグリーンラーメン。広島市ではかき鍋で栄養を補給する。地域の名産も取り入れた秋の巡業は土俵の充実にもつながるはずだ。【鎌田直秀】