第89回選抜高校野球大会に出場する静岡が、今日24日(第5日)第3試合(午後2時開始予定)で不来方(岩手)との対戦を迎える。先発濃厚の左腕エース池谷蒼大投手(3年)は23日、大阪市内で最終調整。同校の前エースで15年センバツ8強に導いた村木文哉投手(4月から筑波大)から届いた激励を勇気に変え、甲子園のマウンドに立つ。

 ほどよい緊張感の中、静岡ナインが最終調整で汗を流した。前日22日にブルペンで30球を投じた池谷は、キャッチボールで入念に感触を確かめ、外野をダッシュして練習を切り上げた。

 「やっと本番という感じです。(昨秋の)神宮大会を経験したので、いいイメージも悪いイメージもできています。自信を持って投げていきたいです」

 今春はスロー調整が続き、練習試合でも最長で3回1/3、69球を投じたのみだが「(試合では)アドレナリンが出るので大丈夫。春(翔一朗投手=2年)も竹内(奎人投手=3年)も仕上がっているので、後を任せるつもりでいきたい」と完投にこだわらず、序盤から飛ばしていく構えだ。

 前夜にはうれしい激励もあった。15年のセンバツでチームを8強に導いた村木からの電話だ。「いつも通りの投球をすれば大丈夫。(本番は)甲子園練習よりもマウンドが整っているので投げやすい。しっかり雰囲気を味わってこい!」。同じ浜松出身で尊敬する先輩からのエールに「分かりました。楽しんできます!」と答えたという。

 選手たちはこの日午前、甲子園球場で仙台育英(宮城)-福井工大福井戦を観戦。優位と見られた仙台育英が、終盤の暴投などで敗れる光景を目の当たりにした。「1つのミスが流れを変える」と肝に銘じたが、栗林俊輔監督(44)は選手に言った。「絶対にミスは出るもの。その後にフォローできることが大事になる」。不来方戦では、清宮幸太郎内野手(3年)擁する早実(東京)-明徳義塾(高知)戦の直後で、スタンドは満員が予想される。だからこそ、「ミスで慌てずフォローする」。この姿勢が求められそうだ。

 大阪入りから12日。静岡の戦いが、いよいよ幕を開ける。【鈴木正章】