小さな大魔神がプロ野球新人記録に並んだ。DeNA山崎康晃投手(22)が2点リードの9回に3番手として登板し、ヤクルトの主軸を1安打無失点に抑え、31セーブ目を挙げた。亜大の先輩でもある与田剛(中日)が90年にマークした新人記録に肩を並べ「今日は特別なマウンドだった。周りの人たちに最後のマウンドに立たせてもらっている。感謝しています」と新人らしく謙虚に頭を下げた。

 新人離れした実力がファンを引きつける。9回にリリーフカーで姿を見せると、スタンドは登場曲に合わせた「ヤスアキ・ジャンプ」で大盛り上がり。今季最多となる2万8966人の大観衆のハートをがっちりつかんで離さない。絶対的な人気者の中畑監督も「歓声を聞けば分かるでしょ。スタンドをあれだけの一体感にできる。1年目にして素晴らしい姿を見せてくれている」とお株を奪われた格好だ。

 プロ2試合目の登板となった3月31日の広島戦で初セーブをマークし、5月には新人記録の9試合連続セーブを打ち立てた。進化なき者に新記録達成が不可能だということは分かっている。大きく縦に変化するツーシームが武器だが、後半戦に入ってからはスライダーを交えた投球で幅を広げてきた。「相手も研究してくるし、自分も経験の中で成長しなければ抑えられない」と話した。正念場の8月を迎えても期待に応え続ける。「大学時代は北海道の釧路で合宿して、往復12キロのロードが日課だった。スタミナは大丈夫です」。たくましく歩を進め、25年ぶりに金字塔をうち立てる。【為田聡史】

 ▼山崎康が31セーブ目を挙げ、90年与田(中日)がマークした新人最多セーブ記録に並んだ。山崎康の2敗はいずれも同点で登板した試合で、セーブが付く条件では32試合に登板して31セーブ。セーブが付かなかったのは危険球で退場した5月24日阪神戦だけで、大量リードで登板の5試合を含め、リードを追いつかれたケースはまだない。与田は40度あったセーブ機会で31セーブだから、セーブ失敗が9度。セーブ成功率では、山崎康が与田を上回っている。