目標は4度目の入団会見!? 中日退団が決まっていた川上憲伸投手(40)が20日、名古屋市内で会見を開き、現役続行を宣言した。9月末には「腱板(けんばん)損傷の再建術」を受け、今後は半年近いリハビリ期間が必要。いばらの道が待ち受けるが、現役にこだわる覚悟だ。今後については「ドラゴンズのテストを受けようかな」と笑顔で明かした。

 常勝軍団を支えた元エースが現役続行の道を選んだ。スーツ姿で会見に臨んだ川上は「率直に言いますと、まだ野球に没頭したい。野球少年でいたかった。限界に近いのは分かっている、限界を超えてまでもやりたい」と偽らざる本音を明かした。

 今季は右肩痛に悩まされて1、2軍ともに登板はなく、40歳という年齢を考えれば、ユニホームを脱いでも不思議ではない。中日からは水面下で投手コーチ就任の打診を受けたが、首を横に振った。

 マイナスからの再出発になる。9月末には大阪市内の病院で、右太ももの筋膜を右肩の棘上筋(きょくじょうきん)に移植する「右肩腱板(けんばん)損傷の再建術」を受けた。スポーツ選手としては前例が少なく、3時間に及ぶ大手術。「野球しない場合でも、手術しないといけないレベル」。それほど深刻だった。

 ただ、表情に悲壮感はない。ひょうひょうとした憲伸節は健在だ。今後について「正直考えていない」と、元阪神藤川のように独立リーグでのプレーは否定。あくまでもNPB復帰を目標にしており「しっかりブルペンに入れるようになれたら、中日のテストを受けようかな。そういう気持ちはある」と大まじめだ。

 中日からメジャーを経て12年に古巣復帰。2年前に1度は戦力外通告を受けたが、谷繁監督の就任とともに再契約した過去がある。「どうせだったら4度の入団会見をしたい。記録的にもこれは抜かれないでしょ。山本(昌)さんでも無理」。今後は名古屋を拠点にリハビリを続ける。沢村賞右腕が、近所の公園で練習を続けながら、復活ロードを歩む。【桝井聡】

 ◆川上憲伸(かわかみ・けんしん)1975年(昭50)6月22日、徳島県生まれ。徳島商-明大。97年ドラフト1位で中日入り。1年目に新人王を獲得。04年には最多勝となる17勝を挙げ、リーグ優勝に貢献。MVP、沢村賞にも輝いた。08年オフにFA権を行使してブレーブスに移籍。12年から中日復帰。昨年は開幕投手を務めた。179センチ、90キロ。右投げ右打ち。