日本ハム大谷翔平投手(21)が2年ぶりの2桁本塁打に王手をかける今季9号を放ったが、勝利はつかめなかった。札幌ドームにヤクルトを迎えた、交流戦の開幕試合。先発有原が今季自己ワースト6回5失点と苦しむ中、大谷が7回に追撃のソロ弾を左翼席に運んだ。打席に立った試合での連続試合安打を自己最長「12」に更新したが、チームはセ最下位ヤクルトに敗れた。

 セのライバル球団を震え上がらせるには十分だった。日本ハム大谷の真骨頂。7回、ヤクルト・デイビーズの外角高め直球にバットを合わせた。ライナーのまま、左翼スタンドへ。「うまくタイミングを合わせて打つことができたと思います」。代名詞でもある逆方向への一発。打席に立った試合の連続試合安打を「12」に伸ばすとともに、2年ぶりの2桁本塁打へ、早くもリーチをかけた。

 デイビーズは速球も140キロ前後。田中賢から「変化球を待ちながら、真っすぐ(にも対応)くらいでいいんじゃないか」と助言され、打席で体現した。自然と体は反応した。

 2日前、5月29日楽天戦では「6番投手」として“リアル二刀流”出場。最速161キロを投げて3勝目を挙げるとともに、打撃では3安打を放った。体力的な部分は「全然大丈夫です」。野手ミーティングに参加できず、打撃練習もできなかった29日とは違い、この日はDHとして打者に集中できる環境でもあった。

 試合前には侍ジャパンで一緒のヤクルト山田と談笑。大谷の打撃練習順は、レアードと並んで最終組。ちょうどヤクルトがウオーミングアップをしている最中ということもあり、プレーボール前から敵の視線を一身に集めていた。

 強烈なインパクトは残したが、勝利にはつながらなかった。チームとしては3年ぶりの交流戦初戦の敗北。大谷自身も4回2死二、三塁の好機に、バットを折られて中飛に倒れている。「走者のいるところで打ちたかった」。中日に逆転勝ちしたソフトバンクとのゲーム差は、今季最大8・5に広がった。【本間翼】