獅子の猛者が勢いに乗る左腕をのみ込んだ。西武浅村栄斗内野手(25)が6回に試合を決める9号満塁弾。5月は27イニングを投げ、1失点の4勝をマークしたDeNA石田をこん身の一撃で沈めた。先発菊池雄星投手(24)も7回3安打無失点の好投で5勝目。投打がかみ合ったチームは6月白星発進した。

 手に残る余韻をかみしめながら、ダイヤモンドを1周した。1点を先制した直後の6回無死満塁。浅村は外寄り140キロ直球を振り抜き、右翼席に9号グランドスラムを放り込んだ。「感触は完璧でした。とにかく後ろにつなぐ意識で、本塁打になるとは思わなかったので本当によかったです」と満面の笑みをみせた。

 序盤はDeNA石田に苦しめられた。「球速の割に球のキレを感じた」という投球の前に2回は三振、得点圏に走者を置いての4回は三ゴロ。それでも勝負どころで仕留められたのは、自らの力で苦境を乗り越えた経験からだった。

 開幕直後は絶好調も4月に入り打率が急降下。同下旬には1割7分5厘まで落ち込んだ。「あんなに打てなかったのは初めて。苦しかった」。左足を高く上げる打撃フォームから、すり足に変えるなどスタイルも試行錯誤。なかなかトンネルを抜け出せない中で、1つの開き直りが復調への契機になった。「自分は悪くなりすぎると、いろいろなことを考え始めてしまう。そこでいかに冷静になれるかが大事」と気付いた。頭を切り替える一方で、鍛錬も欠かさなかった。4月22日から試合前練習中のアメリカンノックを志願。走り込むことで体のキレも取り戻した。

 徐々に打撃が上向き始めると打席での迷いも自然と消えた。この日の1発も「配球を考えて狙っていきました」と明かした。直前のチェンジアップはタイミングがしっかり合ってのファウル。次は速球がくると腹をくくり、完璧に捉えた。

 これで10戦連続安打で、そのうち複数安打は7回。打率は1カ月で2割9分1厘まで上昇した。「自分が打たないと、中村さん、メヒア、そしてチームに迷惑をかける。チャンスで打てる打撃を続けていきたい」と5番打者の覚悟を口にした。12球団屈指の重量打線に、この男は欠かせない。【佐竹実】