覚醒中の北條に負けじと若きスラッガーもパワフルな打撃を見せつけた。阪神江越が先制の7号2ランを放った。

 「バットの先だったのでどうかなと」

 1回1死二塁。中日小笠原の4球目、120キロチェンジアップを見逃さなかった。鋭いフォロースルーで放たれた打球は、左方向へ一直線でオーバーフェンス。充実感を漂わせながらダイヤモンドを1周した。

 「チャンスをもらっているので、チームのために必死にやっているだけです」

 江越の本塁打が出れば通算11勝1敗。豪快な一撃で、快勝劇を呼び込んだ。

 いきなり特訓の成果が出た。プレーボールの5時間前、江越は金本監督と向き合っていた。高山、北條らと打撃フォームの指導を受けた。バットを振り下ろす際、右足が突っ張り、腰が入らずに回る悪癖を指摘され、窓に映る自身の姿を見て素振りを繰り返した。

 早出特打を終えて引き揚げるときだ。直前までドラフト2位坂本の打撃を見ていた金本監督が目の前で「坂本のほうが、江越よりしっかり振れている」と冗談を飛ばした。江越は本塁打で応えたが、指揮官はまだ辛口だった。「本来は3番にいてほしい選手だけに、速い球に空振りをしているようでは、キレのある球を打ち返すのに時間がかかるかな」。それは期待の表れでもあった。

 8月に入って3本塁打。いい時期と悪い時期を味わいながら確かな成長を示す。中軸として、福留抜き打線を引っ張った。【山川智之】