阪神鳥谷敬内野手(35)が12シーズンぶりに三塁を守った。6番三塁で先発復帰。1回に先頭の桑原の三ゴロを難なくさばいた。バットでは5回に中前打を放ち、さらに、二盗も決めた。大きな1歩を踏み出したキャプテンの存在は、苦しむチームにとって欠かせない。
大きく口を開けて、ほえた。笑顔でマウンド上の能見に声をかけた。実に12シーズンぶりの三塁鳥谷だ。1回表、いきなり先頭1番桑原のゴロが正面に転がる。巧みなグラブさばきですくい上げて、一塁へストライク送球。1アウトをもぎ取った直後、一瞬だけ照れくさそうに表情を緩めた。
鳥谷 準備というか、WBCでもやっていたんで。ポジションは自分で決めることではないので。
18試合ぶりの先発復帰だった。6番三塁。1年目の04年9月11日横浜戦以来、通算31試合目の三塁守備だ。同年6月20日巨人戦以来、通算14試合目の三塁先発だ。13年WBC期間中に守ったとはいえ、もちろん本職ではない。試合前の時点で3位DeNAとのゲーム差は4。CS進出へ、もう負けが許されない一戦で首脳陣は切り札を投入した。
金本監督 何回も(本人と)話をして、やっと前向きに、というかね。打撃は本調子ではないけど、こういう時期なので。
指揮官は三塁鳥谷実現までの裏側を少しだけ明かした。7月24日広島戦で先発から外れ、連続フルイニング出場が667試合でストップ。この1カ月間で22歳北條が遊撃に定着。代打を軸とする途中出場が続いた。それでも遊撃守備にこだわった。後輩たちの姿を見てきただけに、簡単に二塁や三塁での出場を自分に許すことができなかった。
「二塁にしろ三塁にしろ、ずっと必死で頑張ってきた若い選手たちがいるわけだから…」
悩み抜いて三塁出場を決めたことだけは間違いない。この日の練習中は約10分間、黙々と三塁でノックを受け続ける姿があった。
5回には先頭で右腕山口から二遊間を抜き、二盗でチーム最多の今季13盗塁目も決めた。これで今季山口相手に13打数8安打。首脳陣が期待した好相性の一端を披露し、久々に存在感を漂わせた。
試合後、指揮官は「しばらくは、いきますよ」と三塁鳥谷の継続起用を宣言した。3位DeNAに5ゲーム差、4位ヤクルトにも3ゲーム差をつけられた。残り17試合。厳しい道のりになるからこそ、キャプテンの120%に期待したくなる。【佐井陽介】
<鳥谷のこれまで>
◆7月24日 広島戦(マツダスタジアム)の先発メンバーから外れ、連続試合フルイニング出場が667で終了(プロ野球4位)。試合前には三塁の位置でノックを受けた。6回に代打で出場しそのまま遊撃に入り、連続試合出場は継続。
◆同25日 金本監督は鳥谷の守備位置について、前日試合前の練習に関連して「(単に)スローの練習やろ」と三塁コンバート案を否定。久慈内野守備走塁コーチも「ショートしかやらないんじゃないか」と発言した。
◆8月3日 DeNA戦(横浜)に「3番・遊撃」で9試合ぶりに先発復帰。3安打の猛打賞で復活をアピール。先発落ち8試合の間9打数6安打、打率6割6分7厘と好調だった。
◆同12日 中日戦(京セラドーム大阪)で再びスタメン落ち。以後17試合先発メンバーから外れる。



