今季、育成枠からはい上がったシンデレラボーイの阪神原口は打率3割に追い込みの挑戦だ。得意のナゴヤドームでバットが火を噴く。2回2死走者なし。カウント2-2からの5球目。吉見の外角速球を強振し、持ち味のパワーでバックスクリーンまで一直線だ。

 「追い込まれていたのでセンター返しの気持ちに切り替えていった。イメージしていた打撃をできていい感じでとらえられました」

 8月30日に名古屋で1発を見舞って以来、出場13試合ぶりの11号先制ソロ。試合前の打撃練習は右方向中心に運び、丁寧にミートポイントを確認する。この日もその成果が出た。7回にも中前へ運びマルチ安打。ナゴヤドームでは他球団本拠地で最多の3発目、打率4割8分と大当たりだ。シーズン2割9分8厘で残り4戦。大台に到達できるかが注目だが、司令塔らしく冷静だ。

 打率3割ラインにも「まずは勝つことが一番です。どんな状況でも勝つことを考えて、そこにつながればいい」と色気を見せない。メッセンジャーを完封に導く、内角を効果的に用いたリードも光った。4月末に支配下登録された。原口もまた、1年を戦い抜いた男だけが味わう「数字の重圧」と闘う。【酒井俊作】