日本ハムが4年ぶりのリーグ優勝へ王手をかけた。優勝マジック3で臨んだオリックス戦(京セラドーム大阪)を1点差で逃げ切り、2位ソフトバンクがサヨナラ負けしたため、マジックは2つ減って「1」となった。「3番DH」で先発出場の大谷翔平投手(22)は、1点リードの6回表無死二塁、2試合連続適時打となる右前打で追加点をもたらした。ソフトバンクとの最大11・5ゲーム差をひっくり返しての大逆転、大谷自身にとって初のリーグ優勝が、今日27日にも決まる。

 絶叫が響いた。ロッカー室が2度目の歓喜に沸いた。大谷は「西川さんの携帯でみんなで(中継動画を)見てました。もう、明日(27日)勝って決めたいです」。勝利のハイタッチから10分後に届いた、ソフトバンクサヨナラ負けの一報。優勝へのカウントダウンは、ついに「1」となった。

 卓越した技術と鋭い読みが凝縮された。1点リードの6回無死二塁。オリックス東明の初球、低めに沈む130キロのフォークを、芸術的なバットコントロールで右前にはじき返した。「ボール球でしたけど、そこを狙っていました。進塁打しか考えてなかった。ゴロで引っ張れる球を」。1回は内角直球を見逃し三振。4回の第2打席も、初球の内角速球に詰まらされて遊ゴロに倒れていた。3度目の対戦。まずは変化球で探ってくると踏んでいた。

 “投手心理”に基づいている。「初球から打ちにいって、(ボールなら)見送る。その中で打てるボールをチョイスする。その方が投手は嫌」。様子見の1球も、ただ黙って見逃すことは絶対にしない。「いいアプローチができていると思う」。前日25日の起死回生の同点打に続き、この日は貴重な追加点。珍しく、自己評価も高かった。

 最大11・5ゲームあった差をひっくり返す、奇跡の逆転劇は最終章を迎えた。160キロをマークし、超高校級と騒がれ続けた花巻東時代にも縁がなかった頂点。開幕前から楽しみにしていた初体験のビールかけや胴上げだが、「いまはまだ(想像は)していないです。勝ちきることだけ」。浮かれず、“決勝戦”を見据えている。

 最後まで「二刀流」で駆け抜ける。ソフトバンクを直接たたいて9勝目を挙げた前回登板から中6日。明日28日西武戦(西武プリンスドーム)の先発マウンドに上がることが濃厚だ。今日27日にもしも足踏みした場合、胴上げ投手と、自身の3年連続2桁勝利をかけた、集大成のマウンドになる。

 まずは今日27日の同戦(同)に集中。登板前日となる大谷の出場は微妙だが、「(相手先発予定の岸は)いい投手だけど、みんながしっかりと最低限の仕事をしていけばいいと思う。明日勝って、決めたい」と繰り返した。批判もあった二刀流。4年間の努力が、最高の形で結実しようとしている。【本間翼】