大谷で決める! 日本ハムがマジック1で迎えた西武戦(西武プリンスドーム)で0-3と完敗。2位ソフトバンクが勝ったため、優勝マジックは1のまま。4年ぶり優勝は持ち越しとなった。今日28日の西武戦に先発予定の大谷翔平投手(22)は、7回に代打で出場して二塁打を放ったが、流れを変えられなかった。今日、自らの投球で優勝をたぐり寄せる。

 驚きと興奮を包んだどよめきが、すぐに歓声に変わった。3点を追う7回2死一塁。今日28日の予告先発大谷が、代打で打席に向かった。「(普段と)特に変わりなくいきました」。西武岸の初球、内角高めの146キロ直球を左中間に落とし、快足を飛ばして二塁へ滑り込んだ。「内側には来るだろうなと思った。しっかり打ててよかった」と笑った。

 ベンチ裏で時を待った。試合前にはブルペンで28球を投げた。登板前日の準備を進めながら、打者としてのスイッチも切らなかった。岸は5回1死まで無安打投球の快投。打ちあぐねる仲間の姿も見ていた。「僕に(出番が)まわってきたころには、疲れてました」と謙遜したが、今季13打席の対戦経験から内角攻めを読み、この日一番の好機をつくり出した。強行起用した栗山監督も「(優勝を)決めにいっている。本人にも出たい気持ちもある」と、マジック1という状況での“特例”に踏み切った。それだけに、「あのワンチャンスを生かすしかなかった」。得点につなげられなかったことを悔やんだ。

 大谷はチームメートとともに、敗戦後もベンチに残って、大型ビジョンに映されたソフトバンクの試合を観戦した。一時はロッテが同点に追いつき、胴上げも現実味を帯びたが、最後はV持ち越しが決定。「(ソフトバンク勝利にも)なんとも思わなかったです」。他球場の結果は冷静に受け止めた。

 バスに乗り込む頃には、投手の顔になった。リーグ制覇を、自身の右腕で決めることができる。前回登板した21日ソフトバンク戦同様、DHを解除して打線に組み込まれる可能性もある。「明日(28日)取るだけなので。しっかり抑えて、勝ちます」と力強く宣言した。栗山監督は、グラウンドにまつわるさまざまな事柄を「野球の神様の差配」と表現する。リーグ制覇をかけて、28日の西武先発は大谷の母校、花巻東(岩手)の先輩菊池だ。神様が仕立てた劇的フィナーレになりそうだ。【本間翼】

 ▼今日先発予定の大谷が7回に代打で二塁打。今季の代打は6月15日三振、8月27日本塁打に次ぎ3度目で、3打数2安打となった。過去、大谷が登板前日に野手で出場は13年8月8日西武戦、同年8月17日ソフトバンク戦の2度ある。西武戦は10回に代走で出場し、翌9日ロッテ戦でリリーフ。ソフトバンク戦は5番右翼で先発し、翌18日は右翼で先発して途中からリリーフ。先発の前日に野手出場は初めて。