こんな姿がもっと早く見たかった…なんてもう言うまい。阪神藤浪晋太郎投手(22)が、前回9月22日広島戦の1失点完投に続く快投を演じた。今季ラスト登板となった巨人戦は6回1安打無失点、7奪三振。勝ち負けはつかなかったが、来季に向けて自信、いや確信を身に刻む圧投2連チャン締め。苦闘の4年目を肥やしに、エース道を行け!
ニヤリ。藤浪は思わず表情を緩めた。4回1死、4番ギャレットを空振り三振に仕留めた瞬間だ。
「うまく決まるとは思ってなかったのでビックリしたのと、うれしかったのと。半分ダメもとで投げたのに、いいところに、いい曲がり方をしてくれた」
外角ストライクゾーンからボールゾーンに沈ませた1球。チェンジアップだった。今春のオープン戦で何度も試投したが、シーズン中は基本的に封印していた球種を解禁。「最近ブルペンで良かったので」と充実感を漂わせた。
6回1安打無失点。わずか82球で7三振を奪い、1四球と安定感が光った。チェンジアップにもメドがつく収穫ぶり。「緩急をうまく使えた。いい形でシーズン最終登板を締めくくれて良かった」と喜んだ。
8月の広島。鉄板焼きを楽しんだ夜、店主の息子から即席野球塾開催を頼まれた。エースを張る球児の投球動画をチェックすると、身ぶり手ぶりで熱くポイントを伝授した。
「いかにタイミングを外すか。『間』が大事。タイミングを合わされたら150キロ後半でも簡単に打たれるけど、岩崎さんは真っすぐで差し込めるでしょ?」
左足を踏み出してから間を作り、リリースポイントを最大限前に。この日、指導したスタイルを体現した。雨天中断の際には指揮官から手応えを問われ、「前回同様、同じ感覚で良かったです」と答えられた。
1失点完投勝利した9月22日広島戦に続き、ほぼ完璧な内容。金本監督からは「来年につながると思う。そう願うわ」と期待された。苦しんだ1年、最後は光を見た。来季こそ、堂々とエースの称号を背負いにかかる。【佐井陽介】
<藤浪の16年>
◆江夏以来の快挙ならず 7勝11敗に終わり、1年目からの連続2桁勝利は3年で途切れた。ドラフト入団では江夏豊(阪神)以来5人目となる、高卒1年目からの4年連続2桁勝利は逃した。勝ち星が敗戦数を下回ったのはプロ初。
◆7戦勝ちなし 6月9日ロッテ戦から7月29日中日戦まで、連続7試合で白星なし。同一シーズンでの自己ワースト記録を更新した。また今季4月19日ヤクルト戦~5月26日ヤクルト戦には、昨季までのワーストに並ぶ6戦勝ちなしも。
◆聖地で苦戦 甲子園では10試合に登板し1勝4敗、防御率4・00と不調が続いた。昨季までの3年間で19勝4敗、防御率2・37の圧倒的優位は消え失せた。



